箱根駅伝予選会、それぞれの涙の先に 本戦を見据えた各大学の戦力を分析

出口庸介

本戦での“下克上”候補は?

本戦では山梨学院大のオムワンバの走りにも注目 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 予選会からシード校に躍進するという“下克上”は、直近5大会では5校、3校、3校、4校、3校となる。
 今回は予選会の1〜4位の差は46秒という、史上最小の僅差だった。これが、そのまま箱根路の戦績にはならない。集団走や前に目標が点々とする予選会は、ある意味で走りやすい。しかし、“生きたレース”になる駅伝では、単独でペースを守る能力、大舞台での緊張感、タスキを受ける位置から、精神的な影響などがある。

 基礎的な走力とともに、「レースの流れを変える」、エース格の存在。また箱根駅伝は5区、6区という特殊区間があり、その“スペシャリスト養成”も大きな課題になる。
 この観点から見れば、山梨学院大が本戦で最も活躍が期待できそうだ。3年連続2区と見られるオムワンバ、前回の山を経験した、井上大仁、桃沢大祐(ともに4年)ら、前回の経験者が8人も残っている。予選会では15キロまで総合トップ。最後の5キロで8番手以降の選手が失速し、総合では4位だったが、底力は予選校中、トップと見て間違いない。前回は2区で、途中棄権という結果だったが、上位を狙う力も備えていた。順当なら、上位争いに食い込むだろう。

 神奈川大も有力だ。これまではスピード不足から序盤の1、2区で「駅伝の仲間外れ」になり、淡々とタスキをつなぐ展開が多かった。今季は柿原聖哉(4年)、我那覇和真、西山凌平(ともに3年)が、積極的にスピードを磨き、序盤の激しい出入りをしのげば、81回大会以来のシード権獲得につながるだろう。

 予選会2位の国学院大も、神奈川大と同じようなチームカラーだ。チーム内の1万メートルで最高タイムは、沖守怜(4年)の29分16秒12で、有力校のエースとは、1分前後の差がある。やはり序盤が課題だが、予選会で見せた粘りから、活路を開くことができるか。
 また、東海大は絶対的なエースが不在で、爆発力不足だが、厚い選手層で戦うことになる。1万メートルで28分台を6人も数える。

 レースの流れ次第では、山梨学院大、上武大などもチャンスが生まれてくるだろう。大エース村山を持つ城西大は、彼の突進をどこまで維持できるか。中央大、順天堂大はノーミス駅伝で活路を開きたい。初陣の創価大は1区間でも長く、タスキをつなげたい。

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