藤原あらし、ルンピニー王者に判定負け=ムエタイのうまさに日本人初の快挙ならず

長谷川亮

ルンピニー10位のあらしがタイトルマッチに挑戦

ルンピニースタジアム・スーパーバンタム級王者ナッタポン・ナーチュアウイッタヤコムに挑戦するも、判定負けを喫した藤原あらし 【長谷川亮】

「蹴拳22」が12日、東京・ディファ有明で開催された。6時間を超すロング興行、全18試合のメインを務めたのは、これまでWPMF世界王座、全日本キック&WBCムエタイ日本バンタム級王座など多くのベルトを腰に巻き、長く国内軽量級トップを走ってきた藤原あらし。5月にムエタイ最高峰に位置するルンピニースタジアム・スーパーフライ級9位のゴンプートーン・ノーノップヒランを破ったあらしは、この勝利によりルンピニー認定王座への挑戦を認められ、同スタジアム・スーパーバンタム級王者ナッタポン・ナーチュアウイッタヤコムと対戦した(あらしのランキングはルンピニー同級10位)。

たくみな前蹴りで距離をつかめず

ナッタポンのたくみな前蹴りに「距離感の掴み方が半端なかった」と敗北を認めたあらし 【長谷川亮】

 5月に前RISEフェザー級王者・一刀と王座決定戦を争ったナッタポンは、ロー&ミドル、そして首相撲を徹底して判定勝利を上げ戴冠。サウスポーのあらしに対してはオーソドックスから放つ右の蹴りを使い分けて応戦する。

 初回から得意とする左の蹴りをミドル、ロー、ハイと放って出たあらしだが、ナッタポンのガードは堅く、またあらしが蹴りに入ろうとする瞬間に前蹴りを入れ体勢を崩してくる。

 右ミドル1つにしても高低差をつけ放ってくるナッタポンは、あらしのガードの下をくぐるようにしてヒットを上げ、離れ際にヒジを見舞うなど試合巧者ぶりを発揮(2R)。

 3R、あらしは攻撃のピッチを上げ右アッパーを当てるなどするが、ナッタポンはこれまで通りの前蹴り、そして組みつきであらしの攻めを分断し、蹴りにタイミングよく前蹴りを合わせて転倒させるなど、主導権を握って優勢を印象づける。

 あらしも劣勢の意識があるか、後半4・5Rはパンチに力を込めてナッタポンに迫り、左ハイキック、バックヒジを当てる場面もあったが、ナッタポンはやはりたくみな前蹴りの合わせであらしに進入と攻略を許さない。

「超えられない壁じゃない」と心の炎消えず

 勝負は判定へと持ち込まれ、50−47、49−47、50−47の3−0でナッタポンが勝利。日本人初ルンピニー王者となるあらしの夢は叶わなかった。

 試合後、あらしは「ミドルと前蹴り、右足だけで制された」「距離感の掴み方が半端なかった」と敗北を認めたが、「超えられない壁じゃない。できると思う」「これだからムエタイはやめられない」とも同時に語り、敗れはしても心の炎はまだ消えていなかった。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■「蹴拳22」
10月12日(日)東京・ディファ有明

<メインイベント(第18試合)ルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級タイトルマッチ 3分5R>
○ナッタポン・ナーチュアウイッタヤコム(タイ/ルンピニースタジアム認定スーパーバンタム級王者)
(判定3−0)
●藤原あらし(バンゲリングベイ恵比寿/ルンピニースタジアム同級10位/挑戦者)
※50−47、49−47、50−47
※ナッタポンが防衛に成功

<セミファイナル(第17試合) 蹴拳ムエタイ 70垠戚鵝。格3R延長1R>
○TOMOYUKI(センチャイムエタイジム/元NJKFスーパーウェルター級王者)
(判定2−0)
●アーサー雅仁(習志野ジム/INNOVATIONスーパーウェルター級王者)
※30−29、30−29、29−29

<第16試合 蹴拳初代女子フライ級王者決定戦 3分3R延長1R>
○松田玲奈(y−park/J−GIRLSフライ級王者)
(3R2分29秒 KO)
ジェット・イズミ(M16ムエタイスタイル/初代J−GIRLSミニフライ級王者)

<第15試合 蹴拳ムエタイ ライトヘビー級 3分3R延長1R>
○寒川直喜(バンゲリングベイスピリット/WPMF日本ライトヘビー級王者)
(判定3−0)
●Chu Jung Hun(韓国)
※30−28、30−28、30−29

<第14試合 蹴拳ムエタイ 85kg契約 3分3R延長1R>
○SHOHEI(田頭道場/WPMF日本ライトヘビー級1位)
(2R0分01秒 TKO)
●Jung Hwang Young(韓国)

<第13試合 蹴拳ムエタイ ライト級 3分3R延長1R>
○龍橋祐泰(Y'ZDジム/UKFキックボクシングイーストアジアライト級王者)
(判定2−0)
●橋本悟(橋本道場/INNOVATIONライト級王者)
※29−29、30−29、29−28

<第12試合 蹴拳ムエタイ スーパーフェザー級 3分3R延長1R>
○津橋雅祥(エスジム)
(判定2−0)
●横田健(習志野ジム)
※29−29、30−29、30−28

<第11試合 蹴拳ムエタイ初代ウエルター級王者決定トーナメント準決勝  3分3R 延長1R>
○虎宇輝(Y'ZDジム)
(判定3−0)
●福田裕介(PLACE−K)
※三者30−28

<第10試合 蹴拳ムエタイ 54kg契約 3分3R延長1R>
○勝也(JTクラブ)
(2R2分23秒 KO)
●マイカヤン・ロンポージム(タイ/ロンポージム)

<第9試合 蹴拳ムエタイ肘なしルール 54kg契約 2分3R>
△陣内まどか(エスジム/J−GIRLSバンタム級王者、WPMF女子日本バンタム級王者)
(判定ドロー)
△水野志保(名古屋JKファクトリーファクトリー/J−GIRLSバンタム級3位、元J−GIRLSバンタム級王者)
※29−29、29−29、29−28(陣内)

<第8試合 蹴拳ムエタイ ウェルター級 3分3R延長1R>
○JYO(大成塾)
(延長判定3−0)
●ヨームートン・ポーピンジー(タイ)
※三者10−9
※本戦判定は三者29−29でドロー

<第7試合 蹴拳インプレッションルール スーパーライト級 3分3R>
○中村政人(RANGER GYM)
(1R2分59秒 TKO)
●モロゾフ新井(岡澤道場)

<第6試合 蹴拳ムエタイ スーパーライト級 3分3R>
○平野将志(インスパイヤードモーション)
(判定3−0)
●和真(早川ジム)
※三者30−29

<第5試合 蹴拳インプレッションルール ヘビー級 3分3R延長1R>
○野尻和暉(RANGER GYM)
(2R2分53秒 TKO)
●黒羽竜朗(OZジム)

<第4試合 蹴拳ムエタイ肘なしルール 57kg契約 3分3R>
○小丸剛史(エスジム)
(判定3−0)
●西田勇人(バンゲリングベイ・スピリット)
※三者29−28

<第3試合 蹴拳ムエタイ肘なしルール 62.5垠戚鵝。格3R>
○♂刈る。(PHOENIX)
(判定3−0)
●トモヤ(正心会)
※30−28、30−28、30−27

<第2試合 蹴拳ムエタイ肘なしルール ウェルター級 3分3R>
○KAN(エスジム)
(判定3−0)
●浅見剛(正心会)
※三者30−27

<第1試合 蹴拳ムエタイ肘なしルール スーパーフライ級 3分3R>
○平山幸文(PHOENIX)
(判定3−0)
●松永誠剛(インスパイヤードモーション)
※三者30−28
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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