土壇場の強さ見せた錦織、宿敵待つ決勝へ=楽天ジャパンOP
ベテランの思い切りに苦しんだ1時間46分
1時間46分の戦いの末にベテラン・ベッカーを下して宿敵ラオニッチの待つ決勝に進出した錦織は力強いガッツポーズを見せた 【Getty Images】
相手、ベンジャミン・ベッカー(ドイツ)のサーブが想像を超えて良かった。大事なポイントでノータッチエースが目立ち、思い切りのいいショットを繰り出した。第2ゲームの40−15から時速212キロ、錦織が最初のブレークポイントを握った第4ゲームのデュースでもサービスエースを2本続けてサービスキープ、錦織にリズムをつかませなかった。
前日の会見ではこう話していた。
「先週のクアラルンプールもベスト8に入り、ここではシード選手に1度も当たらず準決勝まできた。ラッキーだ。ここまで来たら御の字だから、思い切りプレーできる」
後手後手でしか展開できない苛立たしさ
ベッカーのプロ転向は2005年。初出場だった2006年の全米オープン3回戦では、満場のファンの前でアンドレ・アガシを倒している。アガシの現役最後の試合だ。ツアーの顔は多彩だが、長年にわたってこうした修羅場をくぐってきた選手は平気な顔で力の出し入れを仕掛けてくるものだ。
第2セットの第1ゲーム、ベッカーは2本のリターンエースを奪って畳みかけたが、ここを錦織が踏ん張ってキープし、続く第2ゲームをブレークすると、ベッカーはさっさとファイナル勝負に切り替えて力をセーブした。額面通りに受け取れない6−0だ。
実績と自信でタイブレークからの4連続ウィナー
「タイブレークの記録は自分でもけっこう意識していて、負けたら、数字が落ちちゃうとか考えますね。でも、負けず嫌いということだと思います」
実績と自信がタイブレーク3−2からの2本のミニブレークを弾き出し、4連続ウィナーという有終の美で最終日にたどり着いた。第1試合ではミロシュ・ラオニッチ(カナダ)がファーストサーブから81%のポイント獲得率でジル・シモン(フランス)を寄せ付けなかった。
決勝は、今年のツアー後半に主役に躍り出た2人の若者の対決だ。
(文:武田薫)
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