錦織、シングルスでも華麗に発進 満員御礼!のファンを酔わす
マイウェー発進
華麗なショットメークで1万人のファンを酔わせた錦織 【写真:Motoo Naka/アフロ】
「第1セット、ブレークポイントをいくつかしのげたのが良かった」とコメントしたが、ブレークポイントは第2セットに1本あっただけで第1セットには1本もなかった。全米オープンでは「ワウリンカと初対戦」とコメントし、調べてみると実際には2度対戦していた……まずは危なげないプレー、マイウェーでの発進だ。
朝からの小雨で、センターコートの屋根を閉じてのスタート。無風の環境がサーブ力のある対戦相手、イバン・ドディグ(クロアチア)にやや有利に傾いたとはいえ、勢いに乗る錦織には大した影響はない。第3ゲームのサービスゲーム、ダブルフォルトも絡んで3度のデュースというおぼつかない場面もあったが、得意のストロークに余裕があり、安定したサーブでそれ以上に付け入るスキを与えない。4−3リードで迎えた第8ゲームのレシーブゲーム、一気にギアを上げて勝負に出た。フォアハンドの逆クロスを決め、打ち合いを制しての30−0からフォアハンドのきれいなリターンエースを決めた。ここをブレークして第1セット奪った。
錦織の華麗なショットメーク
錦織は「ここぞというところでポイントを奪うことができた」と自信をみせた 【写真:Motoo Naka/アフロ】
第2ゲーム、ラリー上手の本領を発揮。フォアハンドの逆クロス、さらには巧みに捻り出すドロップショット。ドディグのディフェンスも決して侮れず、第4ゲームではパッシングショットを決められて先にサービスブレークされたが、それもまるでファンサービスだったかのように、続く第5ゲームをあっさりブレークバックした。
全米オープンでも印象付けた錦織のリターンが、大事なポイントでの相手のサービス確率を落としていく。30−15から2本のウイナーを決めたのは、いずれもセカンドサーブを狙いすましての鮮やかなウイナーだった。左右に振り、前を脅かし、第7ゲームを連続でブレークして勝負を決めた。オンコートで「ショットは全部いい」と話すなど自信もいっぱい。
「とてもいいプレーができた。緊張はあっても、全米のファイナルに比べれば問題ではないし、多少の緊張は悪くはないですから。第1、第2セットとも、ここぞというところでポイントを奪うことができた」
準々決勝の相手ドナルド・ヤング(米国)は同世代で手の内を知り尽くした相手。左利きのやり難さはあっても、これまで2勝0敗。心配はいらないだろう。
一方、1回戦で第1シードのスタン・ワウリンカ(スイス)を倒した伊藤竜馬(北日本物産)は、この日は立ち上がりから硬さが目立ち、世界ランク62位のベンヤミン・ベッカー(ドイツ)にストレートで敗戦。ベスト8進出とはならなかった。
(文:武田薫)
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