金メダルのみを見据えて戦う川内優輝 アジア大会・男子マラソンに挑む

折山淑美

世界選手権へラストチャンス

アジア大会のマラソン直前会見に臨んだ川内優輝(右から2番目)ら。目標は金メダルのみ 【写真は共同】

 アジア大会(韓国・仁川)の競技最終日前日となる3日に行われる男子マラソン。日本代表として出場する川内優輝(埼玉県庁)は同じ男子代表の松村康平(三菱重工長崎)や、2日に行われる女子代表の木崎良子(ダイハツ)、早川英里(TOTO)とともに、9月30日午後にメインプレスセンターで行われた事前記者会見に出席した。

「今回は来年の世界選手権北京大会(中国)の代表選考会のひとつ。ここで金メダルを獲って世界選手権代表に内定しなかったら、このあとの世界選手権の代表選考レースに出場しないという決意は変わらないです」と改めて口にした川内。勝負への意欲を顔中にみなぎらせて会見に臨んでいた。

「前半はフラットで中盤にアップダウンがあり、最後には上りがあるコースだが、40キロまで競っていったら最後の上りが勝負どころ。片道コースなので当日の風向きによって作戦も変わると思うが、前半は傾斜のある道路の端を避けて集団の中を走り、脚に負担がかからないようにしたい。7〜8月には練習がうまくいかなかったが、8月のパース・マラソン(オーストラリア)から調子が良くなってきて、仁川へ来る前の田沢湖マラソンをうまく走れた。
 今年は6月以降で陸連合宿を含めて40キロ走を6〜7回やっているし、山の中を走り回るトレイルランも2〜3回やり、長時間のジョギングもやってきたから。しっかりついていけば、かなり行けるのではないかと思う」

事前合宿では好調

2時間2分台という驚異的な世界記録が生まれた中で、まだ「日本人でも銅メダルは狙える」と語る川内 【Getty Images】

 こう話す川内は9月上旬の陸連合宿の40キロ走でも、1キロ3分30秒のペースで入って途中から3分20秒に上げ、ラスト5キロは好調だった今井正人(トヨタ自動車九州)に少し遅れるだけの15分2〜3秒で上がった。先日のベルリンマラソン(9月28日)ではケニアのデニス・キメットが2時間2分57秒の世界記録を出し、2位のエマニュエル・ムタイ(ケニア)も従来の世界記録を上回る2時間3分13秒だった。

 その結果についても「ベルリンの記録でまた世界との差は広がって世界ナンバー1になるのは難しくなったが、ベルリンでも3位以降は最後の5キロが16分台で、ラスト2.195キロも8分台に落ちている。今後日本人選手が2時間4分台を出せるようになれば、そういうレースでも銅メダルは狙えると思う。速いペースで走る選手は心が折れると一気にペースダウンするのが特徴なので、日本選手も粘り切ればその可能性はある」と話す。

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著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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