凱旋門賞Vへ日本馬最大のライバルは!?=脅威は英仏オークス馬、そして地元エース

JRA-VAN

38年ぶり快挙、英オークス馬タグルーダ

3歳牝馬として38年ぶりにキングジョージを制したタグルーダ、日本馬のライバルとして要注目! 【Getty Images】

 今年の3歳馬は強い(弱い)──。

 3歳馬と古馬の混合戦が始まる夏を迎えると、競馬ファンの間で必ずといっていいほど話題になるテーマだ。今季の欧州競馬界は中距離を中心に3歳馬が古馬を圧倒。英オークス馬タグルーダによる3歳牝馬として38年ぶりのキングジョージ制覇を象徴的な例として、マイル路線でもキングマンが筆頭評価を受けるなど、各国で3歳馬の活躍が目立っている。

 当初、中・長距離路線をリードするのは昨年の凱旋門賞を圧勝したトレヴと思われていたが、今季初戦のガネー賞でキャリア初黒星。さらにプリンスオブウェールズS、前走のヴェルメイユ賞と3連敗を喫し、今季未勝利で王座陥落も同然の状態に追い込まれてしまった。

 ガネー賞を制したのは日本でもお馴染みの古豪シリュスデゼーグル。既に8歳の大ベテランであることに加え、セン馬のため凱旋門賞の出走資格がない。春のドバイシーマクラシックではジェンティルドンナに完敗したように、もはやピークを過ぎている。また、プリンスオブウェールズSはトレヴと同じ牝馬のザフューグが制したが、後に故障して電撃引退。2着のムカドラムは次走のエクリプスSで優勝したものの、続くキングジョージでは冒頭のタグルーダに一蹴されている。

3歳世代の実力にも不確定要素

 一方、キングジョージに進まなかった古馬たちは、愛ゴールドC勝ちのノーブルミッションが、次走のサンクルー大賞でスピリットジムに差し切られて2着(スピリットジムは後に失格)。ノーブルミッションは続くダルマイヤー大賞で3歳馬ラッキーライオンにも敗れたが、そのラッキーライオンは独ダービーでシーザムーン(引退)に11馬身ちぎり捨てられた馬でしかない。また、スピリットジムは先のフォワ賞でルーラーオブザワールドから3馬身後れの3着。ちなみに、両馬とも昨年のニエル賞ではキズナの後塵を拝している。

 このように、キングジョージをめぐる上半期の路線はさしずめ勝ち抜きトーナメントの様相を呈しており、世代比較では明らかに3歳馬が優勢だ。

 ただ、現役世代の比較で3歳馬が強くても、歴史的ハイレベル、いわゆるヴィンテージクロップというほどの凄味を感じさせるかといえば、実のところそうでもない。というのも、現4歳世代の英ダービー馬ルーラーオブザワールドが、その勝利によって得たレーティングは今世紀最低。それを証明するかのように、英ダービー後の同馬は前走のフォワ賞で1年3カ月ぶりの勝利をつかむまで5連敗し、その間、ロンシャンでキズナに連敗、メイダンではベルシャザールにも後れを取った。また、バーデン大賞でシーザムーンを負かしたアイヴァンホウにしても、当時は人気薄でのG1初制覇。その前にはG2でスピリットジムに完敗しており、地力や実績の面で胸を張れるような存在ではない。欧州の現役古馬世代は、もはや日本馬が引けを取るような相手ではなく、それらを比較対象とする3歳世代の実力にも不確定要素があるのだ。

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