可夢偉が語った!日本GP出場への確信 チーム消滅の噂も視線の先は鈴鹿へ

田口浩次

“F1サーカス”が日本上陸

10月3日に開幕する日本GP、果たして可夢偉は出場できるのだろうか? 【Getty Images】

 今年も間もなく日本グランプリ(GP)が開催される(10月3日〜フリー走行、4日に予選、5日に決勝)。すでに9月24日には、シンガポールから、合計6便、総重量665トンのマシンや機材がエアカーゴ便で到着した。この様子は動画配信サイト「Ustream」の鈴鹿サーキット公式チャンネルで生中継されたので、ご覧になった人もいるかと思う。こうした機材はヨーロッパラウンドの場合、各チームのトランスポーターと呼ばれるトラックで運ばれているが、フライアウェイと呼ばれるヨーロッパ以外でのグランプリ開催地では、特別にチャーターしたエアカーゴ便で世界中を移動する、まさに“F1サーカス”と呼ばれるゆえんがここにある。

 そして日本GPを楽しみに待つ、多くのファンにとって、最も注目している関心事は、“可夢偉は出場するのか?”に尽きると思う。今シーズン2年ぶりにF1へ復帰を果たした小林可夢偉。誰もがここからさらなるトップチームへ向けての挑戦を信じていただけに、現在の苦境はいったいどうして生まれてしまったのか? まずは今シーズンの可夢偉のここまでをおさらいしてみたい。

2年ぶりのF1シートも待ち受けた苦難の日々

 2013年、アジア人初のフェラーリ契約ドライバーとしてWEC(世界耐久選手権)を戦った可夢偉が、フェラーリの契約延長希望を振り切ってまで望んだのは、F1への復帰だった。そして14年最初のテストが開始される1週間前、1月21日に可夢偉はケータハムとの契約を発表した。この契約でケータハムからの給与は基本的にナシ、さらに12年にファンから募った寄付金を逆に支払ってのシート獲得だった。こう書くと、可夢偉の契約条件はよくないように見えるが、チームメートのマーカス・エリクソンは一説には1200万ドル(約13億円)分の資金を持ち込んだと言われているし、他の中堅チームでは数千万ドル近い資金を持ち込んだドライバーがいることも事実。トップチーム以外は、ドライバーからも資金の持ち込みが当たり前となっている、現状のF1において、可夢偉の契約条件は破格の好条件と言ってよかった。そして、可夢偉側が出した主条件は“全戦レースドライバー保証をする”ということだけだったらしい。

 こうした始まった可夢偉の14年シーズンだったが、最初のテストからトラブルに苦しめられた。14年からレギュレーションと呼ばれるルールが変更となり、これまで使用していたV8自然吸気エンジンから、全車V6ターボ+ハイブリッドのパワーユニットを使用することになった。ケータハムはルノー製パワーユニットを使用しているのだが、このパワーユニットがトラブル続きで、まともに1周さえ走れない状況に陥った。これはケータハムだけではなく、レッドブルをはじめとする、ルノー製パワーユニット全チームが抱える問題だった。だが、資金もマンパワーもあるレッドブルなどは、最後の最後に力業とも言える資金のつぎ込みでなんとか競争力を高めることができたが、ドライバーに持ち込み資金を要求しているケータハムにそうした力はない。結局、ケータハムのシーズン前テストは、ERSと呼ばれるハイブリッドシステムを一度も作動させることなく、エンジンパワーだけでの走行データを収集するだけで終わってしまった。

 そして迎えた開幕戦のオーストラリアGP、可夢偉のレースはスタート直後の1コーナーで、前を行くウィリアムズのフェリペ・マッサに追突する形で終わってしまった。システムトラブルでリアブレーキがない状態でのフルブレーキングとなり、ドライバーでは対応しようがないトラブルだ。だが、これは現在に続く可夢偉の苦境の始まりだったかもしれない。

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