梅野、ルンピニー6位強豪と無念ドロー 互角以上攻防も「まだまだ弱い」と反省

長谷川亮

ルンピニースタジアム6位のシントンノーイと互角以上の攻防を見せた梅野だったが悔しいドロー 【長谷川亮】

「M−FIGHT Suk WEERASAKRECK VII」が21日、東京・ディファ有明で開催された。
 今大会では6月大会で一度は組まれながら梅野源治の負傷欠場により消滅してしまった、ルンピニースタジアム・スーパーフェザー級6位シントンノーイ・ポーティラックンとの対戦が実現。試合はルンピニースタジアム同階級のランキング戦として行われた。
 現在は6位にランクするシントンノーイだが、今年2月にはルンピニー王者を破っており、6月には梅野の代役で出場した同門の前口太尊からヒジで2度のダウンを奪い、最後はヒジで大きく切り裂きTKOと強さを見せている。

一流ムエタイ戦士同士、一進一退・白熱の攻防

これまでタイ人強豪を下してきた左ローを幾度も決めたが… 【長谷川亮】

 このアグレッシブで息の長い活躍(現在34歳)を見せる強豪に対し、梅野は1Rからエンジン全開とばかりハイスピードで攻めていく。これまでタイ人強豪を下してきた左ローを幾度も決め、前蹴りも打ち込む。しかし歴戦の勇シントンノーイは恐るべき対応力を見せ、ラウンド前半にはもらった左ローをそのラウンドの後半にはきっちりカットし決めさせない。1R終盤には梅野の蹴り足を取ってロープに押し込み右ストレートで大きくのけぞらせる。

 梅野が主軸とするローキックを煩わしく思ったか、シントンノーイは得意とする首相撲からのヒザを狙い、間合いを詰めてくる。しかし梅野も易々とは組ませず、組みついてくるところを逆に横へ振り、組まれてもロープへ押し込み、さらにヒジで反撃と、どちらも一流ムエタイ戦士同士、一進一退・白熱の攻防を繰り広げる。

梅野に1票入るも結果はドロー

会場が固唾を呑んでジャッジの発表を待ったが結果はドロー 【長谷川亮】

 前に来てテンポの速い攻撃を仕掛ける梅野に対し、シントンノーイはやや疲れたか4Rからはロープを背に応戦する姿が多くなる。その場で梅野が攻めてくると組んでとらえ、体を回してロープ・コーナーに押し込みヒザを浴びせる。しかしスタミナで上回る梅野はパンチ、ヒジ、ローと依然劣らぬアグレッシブさで攻め優勢。

 さらに梅野は最終5Rもパンチから蹴りを放ち、自身がミドルを決めた上でムエタイ式の“流し”に入り、相手に攻撃は加えずリングを回って手を上げ勝利をアピールする。シントンノーイも同様のアピールを見せ、会場が固唾を呑んでジャッジの発表を待ったが、結果は49−48、48−48、49−49と梅野に1票入るもドロー。

悲願のルンピニー王者へ「まだ強くなれる」

「トレーナーに教わった通りにできなかった」と反省 【長谷川亮】

 パンチ・蹴り・ヒジ・ヒザとムエタイのトップ選手と全局面で互角以上の攻防を見せた梅野は「勝ったと思った」と試合を振り返ったが、「首相撲の選手に対するパンチの当て方、ヒジの合わせ方をトレーナーに教わってすごく練習したが教わった通りにできなかった」と反省。しかし同時に、「まだまだ弱い。でも、まだ強くなれる」「試合経験が足りない。もっと経験して、練習したことを出せるようになりたい」と語り、すぐに気持ちは再びムエタイの頂点(ルンピニー王座)へと向いていた。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■「M−FIGHT Suk WEERASAKRECK VII」
9月21日(日)東京・ディファ有明

<第12試合 WPMFルール ウェルター級契約 3分3R>
○ゴンナパー・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックス)
(1R2分04秒 TKO)
●秀雄(平井道場)

<第11試合 ルンピニースタジアム認定ランキング戦 スーパーフェザー級 3分5R>
△梅野源治(PHOENIX/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーフェザー級王者)
(判定ドロー)
△シントンノーイ・ポーティラックン(タイ/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級6位)
※49−48(梅野)、48−48、49−49

<メインイベント(第10試合)WPMF世界フェザー級タイトルマッチ 3分5R>
○スターボーイ・クワイトーンジム(タイ/王者)
(1R2分35秒 KO)
●長嶋大樹(ONE'S GOAL/WPMF日本フェザー級王者/挑戦者)
※スターボーイが防衛に成功

<第9試合 WPMF世界女子ピン級タイトルマッチ 2分5R>
○Little Tiger(WSRフェアテックス/Team Tiger/王者)
(4R1分23秒 TKO)
●ペッタンヤー・モークルンテープトンブリー(タイ/挑戦者)

<第8試合 WPMF世界女子フライ級王座決定戦 2分5R>
○いつか(新宿レフティー/WPMF日本女子フライ級王者)
(判定3−0)
●ペッベンチャー・モークルンテープトンブリー(タイ)
※49−48、49−47、49−48

<第7試合 WPMFルール スーパーライト級 3分5R>
○カノンスック・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックス/WPMF世界スーパーライト級暫定王者)
(3R2分28秒 TKO)
●加藤真也(平井道場/WPMF日本スーパーライト級5位)

<第6試合 WPMF日本ルール フェザー級契約 3分3R>
○鷹大(たかひろ/WSRフェアテックス蕨/WMC世界スーパーバンタム級王者、WPMF日本スーパーバンタム級王者)
(1R2分15秒 TKO)
●下東悠馬(クラミツムエタイ/REBELSムエタイフェザー級6位)

<第5試合 WPMF日本ルール ライト級次期挑戦者決定戦 3分3R延長1R>
○遠藤信玄(Team tiger KGT)
(判定3−0)※30−29、30−28、29―28
●中尾満(エイワスポーツ)
※30−29、30−28、29―28

<第4試合 WPMF日本ルール バンタム級ランキング戦 3分3R延長1R>
○片島聡志(WSRフェアテックス池袋/WPMF日本スーパーフライ級王者)
(判定3−0)
●知花デービット(ワイルドシーサー群馬/INNOVATIONバンタム級1位)
※30−29、30−28、29−28

<第3試合 WPMF日本ルール バンタム級次期挑戦者決定戦 3分3R延長1R>
○林敬明(TSK japan)
判定3−0 
●大澤達也(エイワスポーツジム)
※30−29、29―28、29―28

<第2試合 WPMF日本ルール スーパーライト級ランキング戦 3分3R延長1R>
○NOBU BRAVELY(BRAVELY GYM)
(判定3−0)
●貴雅(WSRフェアテックス西川口/WPMF日本スーパーライト級6位)
※30−29、29―28、29―28

<第1試合 WPMF日本ルール ウェルター級ランキング戦 3分3R延長1R>
○J(TSK Japan/WPMF日本ウェルター級9位)
(判定3−0)
●允明(よしあき/土浦ジム/元MAウェルター級王者)
※30−28、30−28、29−28
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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