メイウェザーが語るパッキャオ戦の可能性=マイダナとの再戦が凡戦で追い風に!?

杉浦大介

ファンを喜ばせられなかったマイダナとの再戦

5月以来となる“現役最強”メイウェザーとマイダナの再戦は、序盤からペースを握ったメイウェザーが判定3−0で圧勝した 【写真:AFLO】

「これから陣営と話し合って将来のことを考える。もしも(マニー・)パッキャオ戦の話が出て来るなら、実現させようじゃないか」
 試合後に最も大きな話題となったのは、リング上のインタビュー中にフロイド・メイウェザーがそう述べたこと。もう1つ付け加えるなら、8ラウンド中に挑戦者のマルコス・マイダナがメイウェザーの左グローブに噛み付いた疑惑についてもニュースになった。しかし、ドラマがそれだけだったと聴けば、ファイト自体は凡戦だったことが容易に想像できるだろう。

 9月13日、米国ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナを舞台に行なわれたWBA&WBC世界ウェルター級、WBC世界スーパーウェルター級タイトル戦、フロイド・メイウェザー対マルコス・マイダナのリマッチは、残念ながらファンを喜ばせる試合にはならなかった。

序盤から一方的な展開で判定3−0の圧勝

 この再戦が組まれたのは、5月3日に開催された両者の第1戦が意外な接戦となったから。しかし、1万6144人の観衆を集めたリマッチでは無敗の5階級制覇王者がペースをあっさりと掌握し、序盤から一方的になった。

 前戦よりも足を使い、ムーブメントを重視したメイウェザーは順調にポイントを重ねて行く。唯一、第3ラウンド終了間際にマイダナの右をカウンターでもらったシーンには驚かされたが、直後のゴングに助けられた。以降はレベルの違うスキルで挑戦者をコントロールし、付け入るスキを与えなかった。

 適応能力に優れた王者が、第1戦の反省からうまくアジャストメントを進めたのか。前戦と比べて思い切りの悪さが目についたマイダナの調整、作戦ミスか。答えはどうあれば、山場のないまま進んだ試合の結果は明白で、116−111が2人、115−112が1人で3―0という採点は挑戦者に甘過ぎるように思えたくらい。終盤ラウンドには席を立つファンがいたほどのワンサイドゲームで、王者はデビュー以来の無敗レコードを47戦全勝(26KO)に伸ばした。

“現役最強”王者も商品価値は衰えている!?

「自分のパフォーマンスを採点するならCかCマイナスかな。俺はもっといい選手だし、もっといい試合もできたはずだった。何発かいいパンチをもらったけど、それもこのスポーツでは仕方ないことだ」
 試合後のメイウェザーのそんなコメントは、単なる謙遜に聴こえなかったのも事実ではある。限界を露呈したマイダナ相手にも大きな山場は作れず、最終ラウンドで足を使う姿も印象は悪かった。難敵に楽勝する技術は依然としてハイレベルだが、37歳にしてやはり衰えは感じられるし、ファンをこれまで以上に退屈させてしまったのは頂けない。

 スター性に欠けるマイダナとの再戦はフレッシュな魅力に欠け、試合前の盛り上がりももう1つだった。メガケーブル局『Showtime』と6戦契約を結んだメイウェザーだが、過去3戦中2戦でPPV中継の成功の基準とされる購買数100万件に届かず、今戦でも同様の結果が濃厚。“現役最強”の呼称を欲しいままにしてきた無敗の5階級制覇王者も、その商品価値が衰えている感は否めない。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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