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歓喜に溢れた香川のドルトムント復帰戦
初ゴールで勝利に貢献、ファンも祝福

「とても移籍していたとは思えない!」

ドルトムント復帰戦に先発出場した香川。いきなりゴールを決めて結果を残した
ドルトムント復帰戦に先発出場した香川。いきなりゴールを決めて結果を残した【Bongarts/Getty Images】

 ドルトムントの香川真司はブンデスリーガ第3節のフライブルク戦に先発出場し、交代する64分まで積極的にプレー。1ゴールを決めた他にも先制点の起点となるパスを出すなど、チームの勝利に大きく貢献した。


「とても移籍していたとは思えない!」


『ビルト』紙は香川真司の復帰戦をそう表現したが、854日ぶりとなる彼のプレーをスタジアムで目の当たりにしたドルトムントファンも同じように感じていたことだろう。みんなマンチェスター・ユナイテッドでの苦悩を知らないわけではない。「復帰を喜びながらも、チームを離れる前のまばゆい光を美化しすぎているのでは?」そうした思いで香川の復帰を見ていたファンも少なくなかったかもしれない。今の香川は一体どこまでできるのだろうか。『ビルト』紙オンライン版のコメント欄には、前日にあるファンから「たとえシンジがひどいプレーをしようとも、チームが0−3で負けようとも、長い目で見たらドルトムントはきっとリーガ最強の中盤を手にするんだ」という書き込みもあった。


 実際、ドルトムントは香川にじっくりと、またなじむまでの時間を与えようとしていた。少しずつ調子を上げ、リズムを取り戻し、万全の状態になるまで待とうとしていた。しかし9月の代表戦でドイツ代表マルコ・ロイスが足首を負傷、膝の十字靭帯断裂から復帰間近だったポーランド代表ヤクブ・ブワシュチコフスキも練習中に太股の肉離れ。それぞれ4週間以上の離脱を余儀なくされている。さらにイタリア代表のチーロ・インモービレもノルウェー戦で腰を打撲、ガボン代表ピエール・エメリク・オバメヤンは試合前日の金曜日にドルトムントに戻るなど、攻撃陣が万全の状態ではない。監督のユルゲン・クロップは「こうした状況では数週間待つことなどできない。今すぐにシンジはチームに必要だ」と起用を決断。前日に行われた記者会見では「シンジは2年間の時を経てさらに成熟した。ファンによるこれ以上にないスタジアムの雰囲気が必要だ。そしてその雰囲気がシンジを解き放つという感触があるんだ」とファンからの最大限のサポートと期待を口にしていた。

トップ下で躍動! 選手、サポーターも活躍を喜ぶ

香川の復帰をファン・サポーターも大歓声で祝福した
香川の復帰をファン・サポーターも大歓声で祝福した【Bongarts/Getty Images】

 ファンのサポートはクロップが想像していた以上のものだった。試合前からファンの暖かい大声援に迎えられ、なじみのポジションであるトップ下としてスタメン出場を果たした香川は、そんなファンの声援をバックに序盤から果敢にチャレンジした。積極的に動き、中盤の深いところまで下がったり、サイドのスペースに走り込んでボールを引き出し、シンプルなパス交換でリズムを作り出す。そして34分、満員のスタジアムに最初の歓喜をもたらした。巧みなターンでボールをキープすると、右足アウトサイドでDFラインの裏にタイミングよく抜け出したケビン・グロスクロイツに絶妙なスルーパス。グロスクロイツはダイレクトでグラウンダーのクロスを入れ、これをアドリアン・ラモスがきっちりと決めた。さらに41分、グロスクロイツのパスで右サイドを抜けだしたラモスからのグラウンダーの折り返しをペナルティーエリア内中央でヘンリク・ムヒタリアンがスルー。フリーで待ち構えていた香川が落ち着いてゴール左へと流し込んだ。64分に足をつって交代するシーンではスタンディングオベーション。ファンは香川の気持ちあふれるプレーをしっかりと見届け、復帰を祝福した。


 試合後ジグナル・イドゥナ・パークのミックスゾーンでは、香川のことばかりが聞かれていたようだ。『西ドイツアルゲマイネツァイトゥング』によるとDFエリック・ドゥルムは「香川の才能はみんな分かっているし、いいトレーニングをしていたからね。ゴールも素晴らしかった。すごい選手だし、何も失っていなかった」と語り、DFネベン・スボティッチは「みんないい練習ができて、いいコンディションだったけれど、シンジは特別にそうだったね。すぐに結果を出すなんて素晴らしいよ。彼にとってだけではなく、チーム全体にとっていいこと」と香川の活躍を喜んだ。

中野吉之伴
1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで経験を積みながら、2009年7月にドイツサッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU15チームで研修を積み、016/17シーズンからドイツU15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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