桜庭&高阪が語るUFC日本大会見どころ

WOWOW

桜庭「僕、技の名前をあんまり知らないもん」

9月15日に放送するWOWOWのスペシャル特番「UFC JAPAN 2014 生中継記念! PRIDE極選」に出演した桜庭和志と高阪剛が9.20UFC日本大会の見どころを語ってくれた 【中村拓己】

 9月20日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで行われる「UFC FIGHT NIGHT JAPAN 2014」。
 今大会を生中継するWOWOWのスペシャル特番「UFC JAPAN 2014 生中継記念! PRIDE極選」(9月15日放送)にて桜庭和志と高阪剛の顔合わせが実現。過去にUFCで戦ったこともある2人にUFCの観戦ポイント、さらにUFC JAPANの注目選手を聞いた。

――今日は過去のPRIDEの名勝負を見ながらお話するという収録でした。高阪さんはWOWOWのUFC中継で解説者を務めていますが、桜庭選手は解説や試合を見ながら話すことは好きですか?

桜庭 まぁ仕事ですからねぇ。本音を言えば何もしゃべらずに集中して試合を見たいですよ。よく実況の人に「今、選手はどんな心境なのでしょうか?」と聞かれるんですけど、僕は「どんな気持ちかは人それぞれだから分からないです」って言いますもん(笑)。

高阪 ハハハハ(笑)。

桜庭 もちろん僕が分かる範囲で技術の説明はしますよ(笑)。今、こういうポジションになったら厳しいですよ、みたいな。TK(高阪)も言っていたみたいに下がりながらアッパーを打たれるとタックルに入りづらいとか。

高阪 やっぱり肌を合わせた人間にしか分からないことが多くて、肌を合わせた時に分かる情報量がものすごいんですよ。格闘技はその最たるものだと思うし、サクは生き字引としてそれをやってきた人間で。

桜庭 生き字引って(笑)。

高阪 いやいや本当に。でもサクがそれを言葉にしようと思ったら「グワー!」とか「バーン!」になっちゃうんだよね(笑)。

桜庭 例えば同じ脇を差すにしても、5センチずれるだけで全然違うんです。

高阪 自分はそれを解説者として可能な限り言葉で説明しようとするんだけど…。

桜庭 僕の場合は効果音になっちゃう(笑)。

高阪 だから自分もサクも伝えようとしていることは一緒なんです、表現が違うだけで。

桜庭 僕、腕ひしぎ十字固め、スリーパー、アキレス腱固めくらいしか技の名前も知らないですしね(笑)。

高阪「PRIDEでもUFCでも仕掛ける選手は強い」

現役時代にUFCで戦った経験があるUFC解説者・高阪は「見に行く人は何かすごいことをやっているなと思ったら歓声を上げてとことん楽しんでほしい」とコメント 【中村拓己】

――桜庭選手は今のUFCの動向はチェックしているのですか?

桜庭 はい。全員が全員ではないですけど、倒しに行く選手は倒しに行くので見ていて面白いです。最近は関節を取る選手も増えてるよね?

高阪 増えてるね。

桜庭 そういう意味でUFCそのものが面白くなってきたなと思います。

――桜庭選手は自分がUFCのルール=ヒジあり&オクタゴンで戦う姿を想像することはありますか?

桜庭 ありますよ。

高阪 PRIDEはヒジ禁止でサッカーボールキックと4点ヒザがありだったでしょ?

桜庭 そう。でも自分の場合はヒジどうこうより…関節をいわしたい! 関節をいわせれれば何でもOKだから(笑)。

――あくまで関節技を極めることが桜庭選手のゴールなんですね。UFCではケージ(金網)を使って戦う選手も多いですが、ずるいなと思うことはありますか?

桜庭 それは思わないですね。リングでもコーナーやロープをうまく使って戦うので。金網は円に近くて動く方向が多い分、逃げようと思えば逃げられますけど、僕がDREAMの金網で試合をした時はそこまでリングとの違いは感じませんでした。

高阪 お互いにやり合う状態であれば、リングもケージもあまり関係ないんですよ。それがどちらか片方がやり合う気がないと、ケージで足を使われてしまう。

桜庭 そうそう。出来るだけコンタクトしないで戦おうとする選手が相手だったらやりづらいだろうなぁ。

高阪 そういう意味では最近、お互いにコンタクトする選手が増えてますよね。あとは網(ケージ)の使い方をプラスアルファで押さえているから、常に攻撃が出来る選手は自分から仕掛けている。それは結局、今も昔も変わらないんですよ。自分から仕掛けて攻撃するから、相手を網に押し込められるわけだし。あらためてPRIDEの試合映像を見て思いましたね、仕掛けている選手は強えなって。

桜庭 それこそマーク・ハントなんてずっと仕掛け続けているじゃないですか。フェイントのパンチなしで、一発一発フルスイングで殴っている。どっちのパンチが強いか真っ向勝負しているみたいな。でもそういう試合が見ていて面白いんですよ。見ている側にも選手の行こうとする気持ちは伝わるし、仮に手を出さなくても行こうとする選手は相手にプレッシャーがかかるんです。

高阪 ヴァンダレイ(・シウバ)はまさにそうだよね。

桜庭 だから実際に手を出してなくてもそういう選手同士のプレッシャーの掛け合いは見ていて楽しい。

高阪「サクがヴァンダレイとやれば手伝うよ」

今のUFCの動向は気にしているという桜庭。自分がオクタゴンで戦う姿を想像することもあるとのこと 【中村拓己】

――高阪さんはずっとUFCの試合を見てきて、もし桜庭選手がUFCに出ることになったら誰と戦うと面白いと思いますか?

高阪 ヴァンダレイ(即答)! 

桜庭 言われればやりますよ(笑)

高阪 その時はしっかり手伝うよ(笑)。

桜庭 というかアイツもそろそろ僕と4度目やらないかな(笑)。もちろん会場は日本のさいたまスーパーアリーナでね。さいたまで試合するとお客さんに乗せられるんだよなぁ。

――会場の雰囲気は試合展開に影響するものですか?

桜庭 僕は影響すると思いますね。やっぱりババーッと行って会場が盛り上がったら、こりゃもっと行くしかねえ!と思うんですよ。これ以上行くと危ないんだよな…と思いながらも(笑)。

高阪 そこで躊躇してちょっと客席が静かになりかけるとやっちゃうんです、やっぱ行かなきゃダメか!って(笑)。

桜庭 1回目のヴァンダレイ戦なんてまさにそれ。こっちがパンチで行ったら、先にバチーン!ってパンチが当たって、その瞬間、客席がドカーン!! それで「行くしかねえか!」と思って、しがみつくヴァンダレイを無理矢理はがして打撃で行ったら、自分ですっ転んでヒザ蹴りでボコボコにされちゃうっていう(苦笑)。あれはもう完全に空気の雰囲気ですよ。

高阪 でもあの雰囲気の中で戦っていたら、どうしてもやり合っちゃう。

桜庭 お客さんに「みんな今、俺で盛り上がったの?」って聞きたくなる感じでしょ(笑)?

高阪 そうそう。リングの上は自分と相手しかいないから、お客さんが沸くとしたら、どちらかが動いた時なんだよね。

桜庭 分かる! 「今沸いたのは俺? 相手? 俺かーーーっ!!!みたいなね(笑)。

高阪 それで自分が勝とうもんなら…。

桜庭 最高でしょう!

高阪 やめられないよね。

――桜庭選手はハントと五味隆典選手を応援しているということでしたが、具体的にどんなことを期待していますか?

桜庭 ハントと五味君と言ったらKOでしょう。あと五味君は金網に登って喜ぶやつね。そこまでセットで五味君ですから。さすがにハントは登れないでしょ?

高阪 それが登るんだよ(笑)。

桜庭 うっそ!!! じゃあハントにも登ってもらいましょう。僕だったら指が金網に引っかかっていたそうなのでやめときます(笑)。

桜庭「UFC独特の雰囲気を直に楽しむのもいい」

桜庭がヴァンダレイ・シウバと4度目の戦いがあるなら、「しっかり手伝う」と全力サポートを約束した高阪 【中村拓己】

――高阪さんの教え子でもある菊野克紀選手はライト級からフェザー級に階級を下げての再起戦となります。

高阪 仕上がりは順調ですよ。階級を下げたというよりも克紀はフェザー級の選手なんだなということが分かりました。減量も順調ですし、試合に向けての練習もばっちりです。階級を落とすことに照準を合わせた練習が出来ているので、かなり計画的にやっています。だから克紀には期待してください。

桜庭 菊野選手はいいですよね。三日月蹴り見たいもん!

高阪 見たいもんって(笑)。

桜庭 あのニヤーと笑いながら相手に近づいて三日月蹴りをブツン!と突き刺して。そしたら相手が「う、う…っ!!!!!」とうめきながら倒れていくじゃん? あれは見ていて面白いよ。

高阪 外国人選手は訳が分からないままやられるだろうね。

桜庭 僕も三日月蹴りを練習したことがあって、菊野君に「今度、三日月蹴りを教えて」と言ったら、菊野君は「突き指するから気をつけてください」と超真面目に答えられました(笑)。

高阪 克紀らしいな(笑)。

桜庭 あとは昔、一緒に練習していた佐藤(豪則)も気になるかな。

――見どころの多い大会だと思いまうが、会場に足を運ぶファンはどのようにUFCを楽しめばいいと思いますか?

高阪 とにかく見る人は見るで、とことん楽しんでほしいですね。なんかすごいことやってるなと思ったら歓声を上げる、みたいな。

桜庭 UFCはUFC独特の雰囲気があるじゃないですか。それを直に楽しむのもいいですよね。

高阪 UFCのスケジュールは時間で動いているから、前の試合が秒殺で終わっちゃうと、次の試合まで間が空いちゃうんですよ。

桜庭 へえ〜。

高阪 だからUFCは進行スケジュールに合わせて、次の試合の選手が入場ゲートでしばらく待たされちゃうこともある。

桜庭 そりゃ大変だ。でもそうなったらどうしようもないよね?

高阪 ひたすら待つしかない。選手の入場を現場で仕切っているバートという人間がいて、選手が入場するタイミングを「もうちょっとだ!まだ入場するなよ!」と見測っているんだけど、むちゃくちゃハイテンションなのよ。選手は待ち疲れしているのに、バートだけは最初から最後までずーっとハイテンションのまま(笑)。

桜庭 それは試合した人にしか分からないだろうな。待たされているイライラを選手にぶつけるしかないよね(笑)。でも今回は12試合だから、そんなに大変じゃないでしょ。それで余裕を持ちすぎて遅刻したら第2試合まで終わっているみたいな。

高阪 いやいや遅刻しちゃダメだから(笑)。みなさんはちゃんと時間通りに会場に来てください!

(取材・文:中村拓己)
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