リオ五輪を見据えたU−21日本代表 2連覇を懸けてアジア競技大会に挑む
アジア競技大会がいよいよ開幕
U−21日本代表を率いる手倉森監督は「アジア大会の代表に選ばれたことで満足するな。国を背負って仕事をするという決意が必要だ」と選手に熱く指導する 【川端暁彦】
ここでは、まず「日本代表」についての説明が必要だろう。4年に1度開催される「アジア版オリンピック」であるアジア競技大会は、1998年までは「A代表の大会」であった。つまり各国が年齢無制限でのベストメンバーを送り込む大会だったわけだ。ただ、ワールドカップ(W杯)と開催年を同じくする難しさがあったこともあり、参加国ごとの温度差はあった。
日本も98年大会では中村俊輔、小野伸二らを擁するU−21日本代表(シドニー五輪代表)を派遣。若手に経験を積ませる場として利用した。こうした中で、2002年大会からは本家の五輪にならう形で大会レギュレーション自体が変更となる。「23歳以下の年齢制限+オーバーエイジ3名」という五輪と同一のレギュレーションが採用されることとなった。
サッカーの国際大会における年齢制限は1月1日区切りなので、今大会の年齢制限は「91年1月1日以降に生まれた選手」が対象となる。「今年23歳になる選手までが対象」と言ったほうが分かりやすいかもしれない。ここに24歳以上の選手たちを3名まで加えることができる。例えば韓国は、GKキム・スンギュ(蔚山現代)、MFパク・チュホ(マインツ)、FWキム・シンウク(蔚山現代)の3名を「補強」している。
リオ五輪を見据えたU−21日本代表
川崎の主力として活躍している大島(左)を招集するなど、今大会には「1クラブ1名」の原則の下で主軸クラスを集めることができた 【川端暁彦】
強化策以外にも、Jリーグ開催期間中であるこの時期にオーバーエイジまで含めたベストチームを編成するのは難しいという現実的な事情もある(これは日本に限らず他の参加国も頭を痛める問題だ)。実際、4年前の10年大会ではJリーグでレギュラーを張る選手たちが招集できず、控え選手と大学生の急造混成チームで臨んだということもあった(もっとも、そのチームは粘り強く勝ち進んで金メダルを勝ち獲ったのだが)。なお今回は日本サッカー協会(JFA)とJクラブが話し合い、「1クラブ1名」の原則の下で、MF大島僚太(川崎フロンターレ)ら各クラブの主軸クラスを招集することに成功している。
チームを率いるのは、手倉森誠監督。かつて08年から13年にかけてベガルタ仙台を率いてJ1昇格から定着までの流れを作ったことで知られる。選手の印象は「守備にこだわりがある」というもので、まずは守りから入るセオリー通りのチーム作りに取り組んでいる印象だ。
また精神面、特に「代表選手」という面にフォーカスした言葉を重ねて選手に発し続けているのも印象的だ。大会直前の合宿初日にも、選手たちに向かって「アジア大会の代表に選ばれたことで満足するな。国を代表して戦うということには大きな責務が発生するんだ。期待もあれば、厳しい目も注がれる。国を背負って仕事をするという決意が必要なんだ」と語り掛けた。