緊張感溢れるテニスを生で見てみたい! 「松原渓のスポーツ百景」
新生アギーレジャパンを観戦。スタジアム観戦の魅力とは?
ゴール裏には国旗と大きなユニフォームが登場 【松原渓】
サッカー日本代表は4年後のワールドカップに向けて新たなサイクルが始まり、ハビエル・アギーレ新監督のもとで始動したチームへの期待が、日産スタジアムを埋めた6万4,007人というサポーターの数に表れていた。
私はメーンスタンドの1階席で見ていたのだけれど、周りは若い女性やカップル、仕事帰りの男性グループなどで超満員。皆、好きな選手の名前が入ったユニフォームを着て、タオルマフラーを巻いて応援していた。日本代表の青いユニフォームを着た人の数が多ければ多いほど、スタジアム全体が青く染まり、会場の雰囲気も増すようだ。試合前には、巨大なユニフォームがゴール裏に登場。スタジアム全体で作り上げるコレオグラフィー(ボードなどを掲げて作る人文字)も、スタジアム観戦ならではの楽しみと言える。
応援グッズのひとつ「チケットケース」 【松原渓】
誰もが行きたくなる心地よいスタジアム作りを
特に、最近は人種差別的なヤジに関するニュースをよく目にする。今年4月、スペインリーグの試合で、ブラジル出身のダニエウ・アウベス選手(バルセロナ)がコーナーキックをする際、観客席からバナナを投げ入れられた。バナナは、有色人種に対する嫌がらせとも取れる差別行為。これは「挑発」の度を超えたひどい行為だ。
しかし、アベウス選手はそのバナナを拾い上げ、皮をむいて一口食べてから、ボールを蹴った。試合後には毅然とした態度で、「スペインではたまにこういうことがある。ユーモアで対応すべき」とコメントしたそうだ。この対応には、私も例外なくリスペクトの念を抱いた。そういった事件が、日本でも最近一部の過激なサポーターによって起きてしまったのは残念だ。
9日のベネズエラ戦では、これまでは見られなかったある光景が見られた。キックオフ前に行われた、両チームキャプテンによる「差別撲滅宣言」だ。この日キャプテンを務めた本田圭佑選手が「私たちはサッカーの力を使って、スポーツからそしてこの社会から差別を撲滅することができると信じ、この目標に向かって突き進むことを誓います。皆さんも私たちとともに差別と闘ってくださるようお願いいたします」と力強く宣言。スタジアムをすべての人が足を運びやすい環境にするためにも、サッカーファンの一人として、意識を高めていきたい。
日本とベネズエラ試合は点の取り合いとなり、2−2のドローだった。新生日本代表はこれからが楽しみだ。
約6万人が1つの場所に集まるのだから、行きと帰りは大混雑を覚悟しなければならない。帰り道は、スタジアムから駅まで人の列が初詣の行列のように続いていた。でも、それもスポーツ観戦の醍醐味(だいごみ)。心地よい疲れと充実感を感じながら、帰路についた。