錦織圭が呼び込んだ男子新時代=四大大会初Vならずも大きな収穫

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夢のメジャータイトル獲得はかなわず

夢のメジャータイトル獲得はならなかった錦織 【Getty Images】

 全米オープンテニスは8日(日本時間9日)、男子シングルスの決勝が行われた。アジアから初のグランドスラム・ファイナリストとして登場した日本の錦織圭(日清食品)だったが、マリン・チリッチ(クロアチア)の安定したパワーテニスを崩せずストレートで敗退、夢のメジャータイトル獲得はかなわなかった。

 暑さに苦しめられた大会最終日は、雲が立ち込め、秋を思わせる涼しさだった。試合開始は午後5時9分(現地時間)。スタンドに少し空白があったのは、月曜日の決勝、新鋭同士の対戦という目新しさだろう。24歳の錦織と25歳のチリッチ、次代を担う2人のピリピリした緊張感が伝わる立ち上がりだ。

 対戦成績では錦織が5勝2敗と上回っていたが、まばたきもしないチリッチの集中力が不気味。錦織の動きに精彩がないのは、疲れか、硬さか。

 第1セットの第1ゲーム、40−30からブレークチャンスをつかんだ錦織だが、リターンで押されて取れなかった。チリッチはビッグサーバーとはいえ、第1セットのエースは3本と多くはない。むしろ、安定したショット・コントロールを中心とした組み立てが今大会の特徴。この日も、錦織ペースのロングラリーを何度も奪われ、いざとなればサービスエースが襲い掛かった。
 第5ゲーム、チリッチがこの日最速の時速216キロも計時する2本のエース。続く第6ゲーム、錦織は0−40から打ち合いを落としてサービスブレークされた。

「自分が試合に入り込めなかった」

 ここまで6試合を戦ってきたからには、両者とも心身の底に疲れを抱える。初めての決勝の舞台という重圧も考えれば後手は取りたくなかったが、錦織は気持ちが空回りして珍しくアンフォーストエラーが続いた。
 第2セットの第3ゲーム、ここも3本のミスによる0−40からデュースまでは戻したが、最後は凡ミスが出てブレークされた。

 チリッチは準決勝で、それまで5戦全敗だったロジャー・フェデラー(スイス)に43本のウイナーを浴びせて、準決勝をストレート勝ちした。その自信はよほど大きいのだろう。先行されても落ち着いてポイントを挽回し、第6ゲームには4連続ノータッチエースを記録するなど、メリハリの効いた攻撃が光った。錦織がやっと反撃に出たのは第8ゲーム。ここで初めてサービスブレークを奪ったが、攻守のリズムまでは作れず、このセットも落とした。

「相手がチリッチに決まり、勝ったことのある相手ということもあって、前日から興奮し過ぎたところがありました。疲れよりも、こんなに硬くなったのは久しぶりでしたね。相手のディフェンスも良かったですけれど、それ以前に自分が試合に入り込めなかった」

 結局、第3セットも第4ゲームを先にブレークされてストレート負けした。

 ポイント総数を比べれば、チリッチの93に対し錦織は68。一方、ブレークポイントはチリッチの11に対し錦織が9と見劣りしないが、9本のうち8本をセーブされた。錦織の完敗と言えるだろう。

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