森友哉に感じる見守る楽しさ…その憎めない性格と才能、そして課題

市川忍

先輩・中村も驚くそのバッティング

すでにファンから「見るために球場へ行きたい」と熱望される存在となっている西武・森友哉。そのバッティングセンスは高校の先輩でもある中村も驚く 【写真は共同】

 9月2日の対千葉ロッテ戦。9回1死一、二塁の場面で「代打・森友哉」の名前がコールされると、球場に大きなどよめきと歓声が起きた。スコアボードには4割1分7厘、3本塁打という成績が表示されている。1回、2回、3回と力いっぱい素振りをする森の姿を球場中が注目している。試合展開は2対4と埼玉西武がビハインド。一打出れば同点のチャンスだった。
 結果はファーストゴロ。その一打で1点を返すものの、後続を打ち取られ西武は接戦を敗戦で終えた。

 それにしても、森への歓声の大きさには度肝を抜かれた。代打の選手に、これほど球場が沸くのを久しぶりに目にした気がする。西武は9月7日現在5位に低迷し、観客のフラストレーションがたまりがちな惜しい試合が続いているが、若干19歳のルーキーが、すでにファンから「そのスイングを見たい」「森を見るために球場へ行きたい」と熱望される存在となっている証拠だろう。

 森が1軍に昇格したのは7月27日。直前の1軍練習に帯同し、早い段階での1軍入りは示唆されていた。初出場となった7月30日、オリックス戦では、プロ初打席を初ヒットで飾ると、その後8月14日に初本塁打を記録。続く15日、16日の北海道日本ハム戦でも本塁打を放ち、高卒新人による3試合連続本塁打を46年ぶりに記録した。

 大阪桐蔭高校の先輩に当たる中村剛也も驚きを隠さない。
「体の使い方がうまいので、どんな球種にもタイミングを合わせる能力がある。小柄な割にインパクトも強いし、あの年齢であんなバッティングができる選手、まずいないでしょう。僕の19歳のときと比べて? 比較になりませんよ。僕があれこれ語れるようなバッターじゃない、ハハハ」

 半ばあきれたように笑った。

今はひとつひとつが勉強

 8月29日のオリックス戦では8月1日以来2度目となるスタメンマスクで試合に出場。冷静なリードでチームを勝利に導いた。バッテリーを組み、約2カ月ぶりに勝利投手の権利を手にした菊池雄星は言った。

「7回表、2死二、三塁の場面では一塁も空いていたし、引っ掛けさせるためにも“ここはスライダーかな”と自分は思ったんですけど、森はストレートのサインを出してきました。その他の場面でも、ミーティングで“この打者はストレートが得意だから”というデータを確認していた打者に対しても、ストレートが多かった。“ああ、森はストレートを使いたいんだな”って思いましたね」

 菊池が振り返った7回2死二、三塁の場面。菊池の持ち味のひとつである、左打者に対して外角高めに伸びる、力強い直球で平野恵一を三振に打ち取った。

 袴田英利チーフ兼バッテリーコーチは語る。
「リードに関してはミーティングでデータを渡して話しますけど、あまり細かいことは言っていません。今は、“とにかく試合に出たら思い切りやれ”と言っているだけ。1軍でマスクをかぶる回数が増えれば、もっと味方のピッチャーのことも分かってくるし、そうすればリードに関しても成長するでしょう。今はひとつひとつが勉強ですよね」

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著者プロフィール

フリーランスライター/「Number」(文藝春秋)、「Sportiva」(集英社)などで執筆。プロ野球、男子バレーボールを中心に活動中。

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