故障明けでも快勝 錦織圭の魅力と素質=全米オープンテニス

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右足親指の手術明けだが、ストレート勝利を収めた錦織圭 【Getty Images】

 故障明けの錦織圭(日清食品)がストレート勝ちで第一関門を突破した。現地時間26日、全米オープンテニス(米国・ニューヨーク)2日目が行われ、第10シードの錦織は、ウェイン・オデスニック(米国)に6−2、6−4、6−2のストレートで勝利し、2回戦へと駒を進めた。

右足親指の手術後だったが「逆に調子が良かった」

 8月に入って右足親指の膿(うみ)を除去する手術を受けた錦織。手術は順調だったようだが準備不足は明らか。5セットマッチを乗り切れるか、暗中模索で迎えた初戦だった。
「2日前、フェリシアーノ・ロペス(スペイン)との練習でいい感触があり、出場できると思った。今日は1ゲーム目から緊張することもなく、逆に調子が良かった」

 対戦相手のオデスニックは世界ランク176位。問題は錦織の体調だから、コート上で感触を実感できれば難しい相手ではない。第1セットの第1ゲームを0−40から早々にブレーク。心配されたサービスも、ファーストサーブの確率こそ50%だったが、ポイント獲得率は73%を記録し、6−2で先手を奪った。

 気温は30度近かったこともあり、できるだけ消耗せずに勝つことがカギ、第2セットがポイントだった。しかし、相手サービスの第3ゲーム、15−40から3度のブレークチャンスを生かせず、逆に第4ゲームでブレークを許してしまった。それでも、錦織はそこから4ゲーム連取で逆転。第9ゲームで0−30から巻き返され一気に決めることはできなかったが、第10ゲームをきっちりキープし、2セット先取で流れを決めた。

故障にも深刻ぶらない錦織

 2回戦の相手はクレー巧者のパブロ・アンドゥジャー(スペイン)で、これまでの対戦成績は1勝1敗。1回戦のようにはいかないだろう。ここで改めて錦織と故障の関係を考えた。

 故障の軽重は本人にしか分からない。しかも、プロアスリートの故障は一般人のケガとは意味が違い、現役時代という限定された期間内で治療を取り込むことになる。これまで錦織はさまざまな故障と相対してきた。故障の発見、対処が遅いのではないかという印象がファンの間にはあるだろう。今回の右足親指の膿胞(のうほう)は、今年2月から兆候があったのなら、腰などを痛めた春の段階で同時に対処できなかったか――今年の目標は全米オープンをピークに考えられてきたから、そんな指摘もできる。それとは別に、のんびりして深刻ぶらないところに錦織圭のプレーの魅力、素質の開花があるとも言えるだろう。

 今回の手術は8月5日、完治まで3週間を要する診断だった。この大会で錦織がベストパフォーマンスを発揮できるなら、それはよほどの奇跡だ。故障と錦織圭の持ち味の『ゆったり感』を考えながら、今後の戦いを見ていきたい。

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