なぜ多い?大阪、兵庫出身の甲子園球児、中学野球から見える “気質”と“伝統”
関西から全国へ行く選手たち
全国49代表、882人の球児が集う甲子園。今年はその9人に1人が、大阪か兵庫の出身となった(写真は一昨年の開会式) 【写真:アフロ】
そんな甲子園を見て、毎年思うことがある。それは、大阪府と兵庫県出身の選手が全国の高校から多数出場しているということだ。今大会も、大阪府出身選手がなんと20府県から62人も出場する。兵庫県出身選手も17府県で36人、愛知や神奈川をしのぎ、2校が出場する北海道と並び2位。この2府県で、全体のベンチ入り882人中98人、9人に1人は大阪か兵庫出身の選手なのだ。(関連リンク:グラフィックレポートVol.1「甲子園球児に見る出身地と出場校の関係」を参照)
選手たちを見渡すと、大半の選手が中学時代に硬式のチームに所属し、腕を磨いた選手たちということに気付く。その背景はどのようになっているのだろうか。
大阪、兵庫のたたき上げは“別格”
数が多いだけではなく実力もなかなか。中学硬式野球ナンバーワンを決める全日本中学野球選手権大会(通称:ジャイアンツカップ)でこれまで3度優勝している枚方ボーイズを筆頭に、ボーイズやシニア、ヤングの全国大会で優勝するほどの実力派チームが名を連ねている。
激戦区であるため、地区予選突破も難しく、平日も練習をして力をつけているチームが多い。指導者も、あの関西ノリでガンガンくる。気のないプレーをしようものなら指導者から容赦なく罵声が飛び、試合でミスをしようものならすぐに代えられる。チーム内の競争も激しく、平日に、元プロによる“野球塾”に通って力をつけていく選手も少なくない。
もちろん、関東や東海地区でもこのようなチームはあるが、やはり関西の“たたき上げ”は別格だ。選手も指導者も、中学時代の日本一はもちろん、その先にある高校での活躍を目標に練習に励む。さらに保護者が手厚くサポートするチームが大阪や兵庫には多い。