- 君島良夫
- 2014年8月7日(木) 15:10

日本を代表するSO(スタンドオフ)の一人として活躍していた君島良夫。3月に所属チームから突然の退部通告を受け、6月からラグビーの強豪国であるオーストラリアに飛び込んだ。30歳にして、大企業を辞め、自費で海外挑戦という異例の経験から彼は何を感じているのだろうか。君島本人の言葉で、シーズンのクライマックスとなった一週間を振り返る。
7/28(月)「街を歩けば声をかけられる」
午前中は近くのジムでウェイトトレーニングをして、夕方からチームミーティング(オーストラリアの強豪クラブ、ランドウィックに所属)。先週の試合のビデオレビューをした後、軽いチーム練習で汗を流して、今日の練習は終了。
オーストラリアのクラブラグビーは、多くがアマチュア選手である。日中は仕事をしていたり、大学に通ってる選手がほとんどだ。仕事や学業の合間に、それぞれ自分でトレーニングをして、夕方のチーム練習に参加する。試合で活躍してプロ契約することを夢見る選手もいれば、仕事の合間を縫って練習や試合に出るという選手も在籍している。
クラブチームは地域に強く密着していて、その地域の企業や店がスポンサーとなってチームが運営されている。チームウエアを着て街を歩くと、多くの人が温かく声をかけてくれる。
「先週の試合は良かったね」「次はどこと対戦するの?」「応援してるよ」
夕方の公園では、子供たちがみな楕円球を追いかけていて、丸いボールを見ることは珍しい。それも、ラグビー文化が深く根付いたオーストラリアならではの光景である。
この国でラグビーができることが心から幸せだと感じている。
7/29(火)「オーストラリアの食生活」

今日も午前中はウェイトトレーニングで、夕方からチーム練習。
今週末からいよいよファイナルシリーズなので、チームの士気も一段と高い。良い練習ができている。
今日は食生活について。オーストラリアと聞いて思い浮かぶのは、やはりオージービーフやフィッシュ&チップスなど、とにかくヘビーなイメージだが、実情はそうでもない。和食はじめヘルシーなアジア料理などが好まれ、人々の健康への意識はとても高い。
オーストラリアに来て約2カ月、家にいる時はなるべく自分で作って食べるよう心がけている。アスリートにとって食事はとても重要だが、日本にいる頃はチームの栄養士のもと、管理された食事を摂ることが当たり前だったこともあり、自炊する機会もなかったので全くのビギナーである。言うまでもないが、日本の食事がやはり何より一番おいしい。自炊生活、日々奮闘中。
7/30(水)「海外に挑戦する意味」

水曜日はオフ日。今日は日本からシドニー遠征に来ている関西学院高等部の試合観戦へ。素晴らしいラグビーでトリニティ・ハイスクールを翻弄(ほんろう)し、圧勝。選手たちにとっても自信になっただろう。
若いうちに世界のラグビーに触れることはとても良いことだ。桁違いに大きな選手やパワーのある選手が世界にはたくさんいるということを、肌で感じることは大きな経験になる。
ランドウィックにも、世界各国から選手が集まっている。ニュージーランド、ヨーロッパ、ポリネシア諸国、南米など、国境を越えてオーストラリアで挑戦する選手は多い。日本では、海外に挑戦するケースはまだあまり多く見られない。島国であることや言語の問題があるかもしれないが、活躍のチャンスは大いにある。
日本代表が世界ランキング10位に入り、「スーパーラグビー」で活躍する日本人選手が増えてきているように、世界のトップレベルとの差は近づいてきている。
特に若い世代には、世界に目を向けて、大学選手権やトップリーグよりも、さらに大きなところを目標にして羽ばたいてもらいたい。