「世界のセブンズシーンと日本の現在地」 岩渕GMと浅見HCが語る女子ラグビー
日本代表のGM岩渕氏(右)と女子7人制ラグビー日本代表HCの浅見氏(左)が講演を行った 【スポーツナビ】
2016年リオデジャネイロ五輪の種目に採用されたことで、注目を集める7人制ラグビー(セブンズ)。15人制のラグビーとはやや異なる世界の勢力図の中で、日本はどのような位置にいるのか。特に女子日本代表(サクラセブンズ)に焦点を当て、岩渕氏、浅見氏がそれぞれの見解を語った。
7人制ラグビーの勢力図とは?
男子は13年3月に行われた香港セブンズで、IRB(国際ラグビーボード)のワールドシリーズ2014−15のコアチームに入ることが決定。女子は14年9月に香港で行われる昇格決定大会に参加する。そこで参加12チーム中、上位4チームに入れば、コアチームに昇格し、ワールドシリーズにすべて参戦することができる。ワールドシリーズは、世界の上位チーム(男子は16チーム、女子は12チーム)が参加する大会で、参加すれば日本は男女ともに年間のシリーズ(9戦)(女子は5−6大会)を通して戦うのは初めての経験となる。日本のセブンズはここ3年で大きく変わってきており、世界の上位と戦えるレベルにまで達していることを紹介した。
男子は昨シーズンの世界ランキングが16位。男子はトップ6(ニュージーランド、南アフリカ、フィジー、イングランド、オーストラリア、カナダ)が強く、日本はほとんど勝つことができていない。7位以下のチーム(サモアやアルゼンチンなど)であれば、日本も勝ったことがあるというのが現状。14−15シーズンはトップ10に入り、ワールドシリーズ残留を目指す。一方の女子は昨シーズン、ワールドシリーズに5大会中2大会に参加し、11位タイの成績を残している。9月の昇格決定戦では、フィジーやオランダ、香港などを警戒しながらも、「必ず上位4チームに入る」と浅見HCは昇格への決意を語っていた。
女子が取り組んでいる強化
基礎が多かった理由を岩渕GMは、「セブンズがリオ五輪の種目に決まってから、世界でフィジカルの強さが飛躍的に変わってきている。このままやっていたら絶対にけがをするという状況になってしまった」と説明した。実際に選手たちの能力は上がっており、選手のけがが減るなど一定の成果を挙げている。現在は、選手の状態を個別に見極め、ストレングスでも何を伸ばすべきなのかを考えてトレーニングを行っている。
今年はさらにニュージーランドのコーチを呼んでトレーニングを実施。日本と女子の世界トップ3(ニュージーランド、オーストラリア、カナダ)では差があるというスピードの強化を行っている。相手にスペースを与えるとすぐに走られてしまうなど、スピードの差は大きく、強化には時間が掛かるため簡単には縮まらない。スピード強化と合わせて、「フライングスタート(動き出しの速さ)」を意識し、その差に対応していく。
サクラセブンズが世界で勝つ可能性
女子セブンズの可能性について、岩渕氏はトップ6の壁が厚い男子に比べ、トップ3が強い女子のほうが上位に進出するチャンスがあると話す。さらに、「身体能力の差は大きいが、スキルのレベルは世界でもそれほど高くない。攻撃側がミスをするケースが多いので、日本が違う部分で勝負できればチャンスがある」と補足した。
また、女子セブンズのレベルは3年前と比べて上がっているものの、代表選手とそれ以外の差が広がってきているという課題を挙げ、第1部を締めくくった。