大和哲也、ムエタイ世界前哨戦にKO勝利 新旧対決はベテラン組が意地=NJKF

長谷川亮

大和哲也は悲願のWBCムエタイ世界王座獲得へ向け前哨戦でKO勝ち 【田栗かおる】

 ニュージャパンキックボクシング連盟「NJKF 2014 5th」が21日、東京・後楽園ホールで開催された。
 メインイベントを務めたのは前回、野杁正明との激闘を制し、保持するWBCムエタイ・インターナショナル・スーパーライト級王座を守った大和哲也。悲願であるWBCムエタイ世界王座獲得へ向け、そのタイトルマッチ前哨戦となる一番をタイのファイパー・シップンミーと争った。

得意の左ボディーからのローでダウン奪取

得意の左ボディーからの右ローでダウンを奪取 【田栗かおる】

 事前に映像が入手できず、リングで対峙したファイパーの体が大きく見えたという大和は、初回はローキックを中心に慎重な立ち上がりを見せる。そこから前に出ようとしたが、ファイパーはタイミングよく前蹴りとミドルを合わせてくる。

 しかし大和は丹念にローを蹴り集め、これでファイパーへ明確にダメージを与えると3Rから攻めのピッチを上げ得意の左ボディーでエグっていく。そしてローと左ボディーに意識を行かせると右アッパーを振り上げ、これで最初のダウンを奪取。

 立ち上がったファイパーにアッパー、フック、ヒジを連打しフィニッシュに掛かった大和だが、ここはクリンチでしのがれる。しかし3R終了直前、再び左ボディーから右ローを叩き込むとファイパーは2度目のダウンを喫し、何とか立ち上がるもレフェリーはここで試合をストップ。

 大和は「ミドルは見えていたけど、気持ちが行き過ぎてもらってしまった」と、精神面のコントロールを今後の課題に上げたが、前哨戦をKOで乗り切り、次なる世界戦へ向け「よいプロローグになったのでは」とこの日の一戦を締めくくった。

テヨンがTaCaと激闘制し2冠

TaCaと激闘を制し2冠を達成したテヨン(左) 【田栗かおる】

 セミファイナル、およびその前の第7試合は新旧対決。セミファイナルではWBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者の国崇(34歳)が同級の日本王者・宮元啓介(21歳)を迎え撃ち、第7試合ではTOMONORI(元WBCムエタイ日本バンタム級王者、36歳)がニモ(NJKFフライ級王者、21歳)とWBCムエタイ日本フライ級王座決定戦を行った。

 試合は宮元がかつては苦手分野であった組みでの攻防からヒザ蹴りで国崇のスタミナを削り、ニモも得意のヒジでTOMONORIをカットとどちらも新世代が肉薄したが、ヒジを中心に応戦した国崇が辛くも振り切り、TOMONORIも縦ヒジをカウンターで合わせる妙技を見せTKO勝ちと、どちらもベテラン組が勝利した。

 この日一番の激闘となったのは第6試合、WBCムエタイ日本スーパーライト級王座決定戦のテヨン対TaCa。互いに強打を持ち、どちらも序盤から腰が落ち合う死闘となったが、テヨンが3Rにヒジでのカットと左フックでダウンを奪い、4RにTaCaの出血がひどくなりテヨンのTKO勝ち。NJKF同級王座に続く2冠に輝いた。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■ニュージャパンキックボクシング連盟「NJKF 2014 5th」
7月21日(月・祝)東京・後楽園ホール

<メインイベント(第9試合)WBCムエタイ世界スーパーライト級タイトルマッチ前哨戦 64kg契約 3分5R>
○大和哲也(大和/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーライト級王者)
(3R3分05秒 TKO)
●ファイパー・シップンミー(タイ/タイ・ブリーラム王者)
※レフェリーストップ

<セミファイナル(第8試合)WBCムエタイインターナショナルスーパーバンタム級タイト ルマッチ 3分5R>
○国崇(拳之会/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者)
(判定2−1)
●宮元啓介(橋本道場/WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王者)
※50−49、48−49、49−48

<第7試合 WBCムエタイ日本フライ級王座決定戦 3分5R>
○TOMONORI(OGUNI GYM/元WBCムエタイ日本バンタム級王者)
(4R TKO)
●ニモ(キングジム/NJKFフライ級王者)
※ドクターストップ
※TOMONORIが新王者に

<第6試合 WBCムエタイ日本スーパーライト級王座決定戦 3分5R>
○テヨン(キングジム/NJKFスーパーライト級王者)
(4R1分38秒 TKO)
●TaCa(Triple−y/初代Krush−65垉蕾座決定トーナメント準優勝)
※ドクターストップ
※テヨンが新王者に

<第5試合 NJKFスーパーウェルター級タイトルマッチ 3分5R>
○TOMOYUKI(センチャイムエタイ/NJKFスーパーウェルター級王者)
(5R2分33秒 TKO)
●KEN(OGUNI−GYM/NJKFスーパーウェルター級3位)
※ドクターストップ
※TOMOYUKIが王座防衛

<第4試合 WBCムエタイ日本ウェルター級王座次期挑戦者決定戦 3分5R>
○健太(E.S.G/NJKFウェルター級王者)
(判定3−0)
●笹谷淳(TANG TANG FIGHT CLUB/J−NETWORKウェルター級1位)
※50−48、50−47、50−47

<第3試合WBCムエタイ日本フェザー級王座決定トーナメント準決勝 3分3R>
○笹羅歩(笹羅/NJKFフェザー級王者)
(判定3−0)
●大樹(ARENA/NJKFフェザー級1位)
※三者30−28

<第2試合 NJKFスーパーフェザー級王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R>
○鈴木翔也(OGUNI−GYM/NJKFスーパーフェザー級1位)
(判定3−0)
●琢磨(東京町田金子/NJKFスーパーフェザー級4位)
※30−28、30−27、30−27

<第1試合 NJKFスーパーフェザー級王座決定トーナメント準決勝 3分3R延長1R>
○悠矢(大和/NJKFスーパーフェザー級3位)
(3R2分31秒 TKO)
●北野克樹(誠至会/NJKFスーパーフェザー級5位)
※ドクターストップ
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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