メジャー初Vの陰に祖父の愛 31歳モー・マーティンを支えたもの

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メジャーの大舞台で初勝利

ツアー初勝利をメジャーの大舞台で果たしたモー・マーティン 【写真:Action Images/アフロ】

 英国ロイヤルバークデールGCで起こったシンデレラストーリー。海外女子メジャー「全英リコー女子オープン」最終日、風速10メートルほどの強風が吹き抜けたリンクスコース(海岸沿いにあり、自然の地形を生かしたコース)を「72」のパープレーで回ったモー・マーティン(米国)が、ただ一人のアンダーパーとなる通算1アンダーでフィニッシュし、自身初勝利をメジャーの大舞台で成し遂げた。

 最終組の1時間前に首位と3打差の1アンダーでティーオフしたマーティンは、17番までに1バーディ3ボギーの通算1オーバー。だが、最終18番(パー5)で劇的なイーグルを奪って通算1アンダーとして、追いすがるフォン・シャンシャン(中国)、朴仁妃(韓国)、スーザン・ペターセン(ノルウェー)ら強豪の猛追を振り切った。

 ツアー3年目のマーティンは、これまで米国女子ツアーでの最高成績は13年「キア・クラシック」での3位タイ。それが、唯一のトップ10フィニッシュでもあった。今シーズンのスタッツでは、ドライバーの平均飛距離は233.2ヤードで156位。だが、フェアウェイキープ率は86%で第1位。深いラフとポッドバンカーでガードされた今週のコースでも、4日間合計77%は堂々の1位だった。

 最終18番の第2打は、「3Wでのフルショット。(左からの風だったので)すごく左に向けて思い切り打った。完璧なショットでピンにぶつかって、フェアウェイからでもその音が聞こえたの」。

 現在31歳で前週までの世界ランクは99位。将来を嘱望された若手でも、今シーズン、好調の波に乗っている選手でもない。当然、プロとしてのキャリアを積み重ねることも容易ではなかったはずだ。

「金銭的なことを言うと、何年間も多くの人に私がプレーすることを助けてもらった。だから、(この優勝を)この場でみんなに感謝できれば良いのだけど、みんなは絶対に誰のことを言っているか分かっているはず」

計り知れない影響を与えた祖父の存在

 そんなマーティンは、自身のキャリアを続けていく上で決まりごとにしていたことが3つあるという。

1.朝、起きたときに幸せを感じているか。 
2.自分はまだ女子ゴルフに貢献し、その発展に寄与しているか。 
3.自分自身のお金でプレーをしているか。

 昨年、102歳で亡くなった祖父がマーティンに与えた影響も計り知れない。「彼が私の人生を変えた」とマーティンは言う。マーティンの父と祖父は意見の食い違いがあって疎遠だったが、マーティンが19歳のときに父が亡くなった。

「そのとき、祖父のことをもっと知りたいと思って、彼の農園まで会いに行ったの。そのオフィスに入ると、そこには私について書かれた新聞記事や写真がたくさんあったわ。私は涙があふれたの。だって、彼がこんなに私を気にかけ、いつも愛してくれていたなんて知らなかったから」

 こんな素敵な話があふれてくるのが、スポーツの魅力でもある。モー・マーティンという一人の女性と、彼女を取り巻く温かい人間関係。メジャー優勝というビッグタイトルが、そんな愛すべきストーリーにスポットライトを当ててくれた。

(文・今岡涼太)
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