所英男がバーネットの愛弟子にKO敗=勝村周一朗プロデュースの金網イベント

長谷川亮

若手の育成、ベテラン再生工場の場

昨年10月のVTJの惜敗以来、復活を期した所だが、2Rに右ストレートを食らってまさかのKO敗を喫した 【長谷川亮】

 元修斗世界王者・勝村周一朗がプロデューサーを務める金網(ケージ)使用の総合格闘技大会「GRANDSLAM −Way of the CAGE−」が13日、東京・ディファ有明で開催された。

 若手の経験と育成、そしてベテラン再生の場としてスタートした大会の初メインを務めたのは勝村の盟友・所英男。大会プロデューサーとして本部席に座った勝村も、この試合ばかりはその任を離れ、所のセコンドに付きともに勝利を目指した。

 昨年10月、VTJでのウィル・カンプザーノ戦で失意の敗北を喫して以来、9カ月ぶりの試合となる所はジョシュ・バーネットの愛弟子であるビクター・ヘンリーと対戦。ビクターは6勝1敗という新鋭だが、セコンドにはジョシュ自らが付き、番狂わせを狙う。

主導権を握っていた所にまさかの…

若手の育成、ベテラン再生工場の場として元修斗世界王者の勝村周一朗が金網イベントをプロデュース 【長谷川亮】

 試合は主に打撃戦で展開。所はローで組み立てるビクターに右ストレートを合わせ、自らもローを入れ、ビクターに組みつくと足を刈ってテイクダウンと徐々に試合の流れを自らの手元へ引き寄せていく。

 2Rにもテイクダウンを奪い、所ペースになってきたかと思われた試合だが、スタンド打撃戦に戻ったところでビクターが右ストレートを直撃。ダメージが明らかな所はグラウンドに展開して逃れんとするが、背後についたビクターがパンチを連打すると動けない所を見てレフェリーが試合をストップ(2R1分52秒、TKO)。勝村が用意した舞台での再起を期した所だったが、ビクターがジョシュとの師弟コンビでその思いを打ち砕いた。

UFCリリースのナム・ファンが復活勝利

好勝負が多く充実した内容に手応えを感じていた勝村プロデューサー。若手の経験、ベテラン再生の場として今後も継続の意志を示した 【長谷川亮】

 日本では経験・戦績の浅い選手の試合は2R制で行われることも多いが、「GRANDSLAM」本戦では世界基準となっている3R制を採用。「若手の育成・ベテランの再生」という勝村プロデューサーの思いを実現するように、大会はUFCリリース後のナム・ファンが強さを見せて復活勝利を上げ、佐々木郁也(回転ヒジのヒットからスリーパー)とボブ・アームストロング(豪腕連打の秒殺TKO)が派手な決着劇、ZST期待の新鋭・“腕関初段”柏崎剛も伸びやかな動きを見せ一本勝ちと、好勝負が多く展開された。

 大会は充実の内容でプロデューサーとしては手応えを感じた勝村だったが、メインでは練習仲間でセコンドを務めた所がまさかのKO負けと、波乱の幕切れが最後に大会を盛り上げる形で、皮肉な結果となってしまった。プロデューサーとセコンドとしての胸中が入り混じり複雑な表情の勝村だったが、「若くていい選手はいっぱいいるし、リングで輝ける選手がいれば、ケージで輝ける選手もいる。活躍の場が多くあれば、それだけチャンスも広がる。選手を縛るつもりはないので、この大会をステップにしていってほしい」と話し、今後も選手の経験・再生の場として大会を継続していきたい考え。また所に対しても「どこでもいいのでいい勝ち方をして、次につないでほしい」と連敗となってしまったが、復活を願っていた。

 また、今大会ではポールダンサーが登場してオープニングで官能的なダンスを繰り広げ、大会中はラウンドガールを務めるといった従来の大会にはない演出も見られた。

大会結果

ラウンドガールを務め、オープニングでは官能的なポールダンスを披露したポールダンサー 【長谷川亮】

■「GRANDSLAM −Way of the CAGE−」
7月13日(日)東京・ディファ有明

<第8試合 メインイベント バンタム級 5分3R>
○ビクター・ヘンリー(アメリカ/CSW/ハイブリッドファイター)
(2R1分52秒 TKO)
●所英男(リバーサルジム武蔵小杉所プラス)

<第7試合 フライ級 5分3R>
○飛猿☆No.2(リバーサルジム川口リディプス/修斗バンタム級世界3位)
(判定3−0)
●清水俊一(宇留野道場)
※30−27、29−28、30−27

<第6試合 64kg契約 5分3R>
○ナム・ファン(米国/パラエストラ八王子)
(1R4分27秒 TKO)
●伊藤健一(カルペディエム)

<第5試合 フェザー級 5分3R>
○佐々木郁也(T−PLEASURE)
(1R2分22秒 チョークスリーパー)
●森興二(クロスワンジム湘南/ZSTフェザー級王者)

<第4試合 ミドル級 5分3R>
○ボブ・アームストロング(ニュージーランド/ALIVE)
(1R0分31秒 TKO)
●YOUSUKE(teamREAL)

<第3試合 ライト級 5分3R>
○星野大介(総合格闘技津田沼道場)
(判定3−0)
●岡澤弘太(リバーサルジム横浜グランドスラム)
※三者30−27

<第2試合 フライ級 5分3R>
○梶川卓(スカーフィスト)
(判定3−0)
●井口摂(BADASS13)
※三者30−27

<第1試合 バンタム級 5分3R>
○柏崎剛(K−PLACE)
(2R2分21秒 チョークスリーパー)
古間木崇宏(パラエストラ八王子)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント