- 元川悦子
- 2014年7月4日(金) 12:46
高かった日本の前評判

6月14日(現地時間。以下同)のコートジボワール戦(レシフェ)でまさかの逆転負け(1−2)を喫し、その後の19日のギリシャ戦(ナタル)でドロー(0−0)、24日の最終戦・コロンビア戦(クイアバ)では控え組中心の相手に1−4の大敗を喫し、ブラジルワールドカップ(W杯)グループリーグ敗退を強いられた日本代表。親善試合で勝っているコスタリカやベルギーが8強入りする中、勝ち点1・グループ最下位という日本の結果は非常に不本意と言わざるを得ない。
昨年11月にブリュッセルで日本が3−2で勝った試合をスタジアムで見たというベルギーのサッカー雑誌『Voetbal』のバンデ・ベルデ・ステファン記者からは「あの時の日本はものすごくいいチームでインパクトが強かったのに、わずか半年間にどうなってしまったのか?」と逆質問されてしまったほど。それだけ、各国メディアの日本の前評判は高かったと言っていい。
出てこなかった日本の“ラッキーボーイ”

ギリシャ戦を取材したサンパウロの日刊紙『FOLHA DE SAO PAULO』のチャベス・メルグイゾ記者も試合前のエスタディオ・アレナ・ドゥナスで「日本とギリシャの第1戦の戦いぶりを見ると、日本の方が断然よかったと思う。日本はホンダ(本田圭佑)が素晴らしい先制点を取ったし、技術やスピードも低くなかった。コートジボワール戦ではカガワ(香川真司)が守備に回る時間が多くて苦しかったが、本来の彼はホンダとともに違いを見せられる選手。ホンダとカガワがいる日本がギリシャに負けるとは、ブラジル人は誰も考えていない。日本のMFは非常に能力が高いし、支配力ではギリシャより間違いなく上だろう」と高評価してくれていた。
しかし、ふたを開けてみると、期待の本田も香川もギリシャ戦では決め手を欠いてしまう。主導権を握り、シュート数でも上回ったコロンビア戦でもゴールを奪えなかった。その両エースが不発に終わったことが日本低迷の最大の要因だと見る向きもある。それを指摘したのが、やはり昨年11月に対戦しているベルギーのスポーツ紙『Het Laatste Nieuws』のデクリーセ・マルク記者だ。
「今大会で勝ち残っている国を見ると、ブラジルのネイマール、アルゼンチンのリオネル・メッシ、コロンビアのハメス・ロドリゲス、ドイツのトーマス・ミュラーといったように傑出したタレントが結果を出している。ベルギーの場合は得点者は1人だけに偏っておらず、(ケビン・)デ・ブライネ、(ロメル・)ルカク、(ディボック・)オリギ、(マルアン・)フェライニ、(ドリース・)メルテンスとアタッカーが1点ずつ取っているし、(エデン・)アザールもアシストで貢献している。日本はエースのホンダとカガワが不発に終わったし、それをカバーする選手が他に出てこなかったのも痛かった。われわれのチームは、(クリスティアン・)ベンテケが4月に負傷し、その代役に抜てきされたオリギがブレイクしたが、そういう“ラッキーボーイ”的な存在が出てくることも重要。日本はそういう要素も欠けていた」と彼は厳しい目線で日本を見ていた。