“名勝負”間違いなしのW杯準々決勝 「22歳の10番」対決など見どころは?
マラドーナも超えた壁にメッシが挑む
メッシ(左)やディ・マリア(中央)が好調のアルゼンチン。屈強なベルギーの選手たちをどう崩すのか 【写真:ロイター/アフロ】
これ以降、両国の対戦はないわけで、アルゼンチン国民にとっては不思議な「良縁」を感じるカードかもしれない。マラドーナの再来と言われ、今やそれを超えんとするリオネル・メッシが力を示して勝ち残れば、その先に待つのは86年以来の戴冠ではないか。そんな期待感が高まるのも無理はない。
今大会、個人的な優勝予想はアルゼンチンだったのだが、ここまでのあまり褒められない試合内容を含めて“アルゼンチンらしい”勝ち残りとなった。きっ抗した展開を最後に突き崩してしまうメッシとアンヘル・ディ・マリアという2大スターの存在感と、涼しい会場での試合が続いているために消耗が少ないであろう2点は、重要なアドバンテージと言える。一方、この準々決勝に向けては左SBのマルコス・ロホが出場停止となるのが不安要素である。
対するベルギーは、米国とのシュート数50本を超える、まさに“殴り合い”を制しての勝ち残りとなった。今大会、いささか決定力不足の感もあるベルギーだが、GKティボ・クルトワと、ダニエル・バン・ブイテン&バンサン・コンパニの両CBで形成されるゴール前中央部は、まさに城塞。全体として身体的に恵まれた選手が多いこともあって、「攻め込まれても最後は体で何とかしてしまう」プレーはアルゼンチンのような小柄な選手が多いチームにとっては天敵となり得る。攻撃面では米国戦で決勝点を記録した21歳のFWロメル・ルカクの再爆発に期待したい。190センチ・100キロのボディから繰り出されるキャノン砲は驚異的だ。
オランダはポゼッション型に変身するのか?
今大会、5バックをベースにした堅陣からアリエン・ロッベン&ロビン・ファン・ペルシという大会最強の2トップを走らせるカウンターアタックが機能しているオレンジ軍団。5−1で圧勝したスペイン戦はその白眉(はくび)とも言える試合内容だったが、コスタリカとの試合は難しいゲームになるかもしれない。
というのも、コスタリカもまた5バックをベースにした堅守速攻で勝ち残ってきたチームだからだ。オランダに対しても割り切った守備からの速攻を狙ってくることは想像に難くない。オランダは本来、ボールを握って相手を押し込むポゼッションゲームを得意とするチームではあるのだが、その「変身」がうまくいくかどうか。中盤の要であるナイジェル・デ・ヨングを負傷で欠くのも不安要素となる。
対するコスタリカも、ラウンド16で退場となったストッパーのオスカル・ドゥアルテが出場停止。屈強な肉体に加えてフィード面でも貢献していたこの男の不在は、意外に大きなダメージとなるかもしれない。我慢の展開となることは必至なだけに、代役となりそうなジョニー・アコスタの奮闘に期待が懸かる。175センチとCBとしては小柄ながら、意外なほどの高さも持つ選手だ。
過去、幾多の名勝負を大会史に刻み込んできた「W杯の準々決勝」。ベストゲームを選ぶのがすでに難しいほどの「名勝負乱発」となっている今大会だけに、どんなビッグゲームが誕生するのか。夜ふかししても損のなさそうな、そんな試合がそろったのは間違いない。