3回戦進出の錦織、好調示した1時間28分=ウィンブルドンテニス

WOWOW

錦織が“100点”の快勝

錦織が格下相手に余裕のストレート勝ちで3回戦進出を決めた 【Getty Images】

 テニスのウィンブルドンは26日、大会第4日が行われ、男子シングルスの錦織圭(日清食品)が予選上がりのデニス・クドラ(米国)をストレートで退け、危なげなく3年連続の3回戦進出を決めた。

 気温21度、陽が陰ると肌寒さを感じる18番コートは、日本人サポーターでいっぱいだ。1回戦突破で肩の荷も下りたのだろう、錦織は余裕の立ち上がり。ビッグサーバーのケニー・デ・シャプール(フランス)との1回戦ではほとんどラリーがなく、フラストレーションを募らせていたが、この日はスタートから長い打ち合いがあった。第2ゲームで早々にサービスブレーク。しかし、続く第3ゲームの30−15から、こちらもあっさり落としてしまった。初戦との落差に対する戸惑い、まだ大会になじんでいない軽さがのぞいた。それでも、相手の世界ランキングは136位。体調によほどの異変でもない限り、最近の錦織は格下に星を落とすことはない。徐々にエンジンがかかり、第1セットを6−3で奪った。

 特に、全仏オープンで錦織が苦しんだサーブに格段の違いがあった。
「練習量を増やしているくらいで、特にサーブを変えたということはありません。どのセットも、早くブレークできたことで余裕が持てたし、アタックできた。100点でした」

 試合全体でのファーストサーブの確率67%は平均的。だが、各セットのサービスゲームのポイント獲得率は第1セットから66%→64%→80%と高く、セカンドサーブからも攻めた。サービスから余裕が出れば、ラリーでのショットの切り替えは自由自在。43本というウイナー数が物語るように好調な錦織が、この試合を6−3、6−2、6−1で制し、1時間28分で決着させた。

 錦織の3回戦の対戦相手は、クドラと同じく予選上がりのシモーヌ・ボレッリ(イタリア)。フィリップ・コールシュライバー(ドイツ)を倒して勝ち上った世界ランキング132位との対戦は、ラッキードローと言えるだろう。錦織はここまで疲労もなく体調は万全。ただ、先読みは禁物だが、勝ち進んだ先にマイロス・ラオニッチ(カナダ)が控えることを考えると、集中力、緊張感をどうコントロールしてギアを上げていくかが鍵だ。

ナダル「この勝利はものすごくうれしい」

 一方、センターコートでは因縁の試合があった。

 世界ランキング1位のラファエル・ナダル(スペイン)が、2年前の2回戦で敗れたルーカス・ロソル(チェコ)と対戦。2人は既に今シーズン、ドーハ大会で対戦しており、ナダルが勝っている。しかし、ウィンブルドンの舞台での再戦は特別だ。
 2年前の大金星以来、グランドスラムで今大会前まで2勝しかしていないロソルは、当時と同じく渾身の力でフラットサーブをたたきつけてきた。第1セットはショットも深く、第9ゲームにブレークに成功すると、第10ゲームをラブゲームでキープして先手を奪った。

 ナダルは昨年も1回戦敗退、今年の前哨戦のゲリー・ウェバー・オープンでは初戦敗退と、今大会前まで芝のサーフェスで連敗していた。そのため、世界ランキング1位にもかかわらず第2シードに格下げの出場、ましてや相手が相手なだけに負けられない試合だった。しかし、第1セットを4−6で落としてしまう。

 迎えた第2セット、第5ゲームでロソルが先にブレークした後の第8ゲームが大きな山場だった。0−15から16本のラリーを交わした末に、ナダルがフォアのウイナーを突き刺した。もつれ込んだタイブレークで、ロソルが6−5のセットポイント。サービスを迎えたナダルは、まず強烈なフォアハンドのダウンザラインで6−6に戻した。振り返れば、この1本が明暗の境界だった。サービスエースを続けて7−6と逆にセットポイントを握ると、ロソルがダブルフォルト。流れが変わった。

「この勝利はものすごくうれしい。芝生の上では、ここまでレベルの高い試合を長いことやれていなかった。自信につながる、とても大きな勝利だった」(ナダル)

 ナダルは全仏オープンを制したことで気持ちに余裕があると言う。3度目の全仏&ウィンブルドン連覇に気持ちは大きく前進したようだ。

 男子では小波乱もあった。推薦出場の19歳、ニック・キルジオス(オーストラリア)が第13シードのリシャール・ガスケ(フランス)を倒し、同じく推薦出場で20歳のイリ・ベセリ(チェコ)が第24シードのガエル・モンフィス(フランス)をフルセットの末に下し、ともにグランドスラムでは初の3回戦に進んでいる。
 女子はセリーナ・ウィリアムズ(米国)、マリア・シャラポワ(ロシア)、ユージェニー・ブシャール(カナダ)が危なげなく勝ち上がった。

(文:武田薫)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント