イタリアの早期敗退は必然だったのか 4つの側面から見えたチームの限界
ウルグアイに敗れ、肩を落とすピルロ(右)。イタリアは2大会連続でグループリーグ敗退に終わった 【写真:ロイター/アフロ】
結果的に敗退への分水嶺(れい)となったのは、2試合目のコスタリカに0−1で敗れたこと。この試合には、このワールドカップ(W杯)におけるイタリアの限界がさまざまな面で浮き彫りにされていた。もちろん、最終的に敗退をもたらしたのは、引き分けでもOKだったウルグアイ戦での敗戦だが、この試合にこれだけ追い込まれた状況で臨まなければならなかったこと自体、すでに「棺桶に片足を突っ込んでいた」も同じだった。
以下、早期敗退の原因を戦力、戦術、フィジカル、メンタルという4つの側面から考察してみよう。
「世界に通用しなかった」攻撃陣
最後のウルグアイ戦、チェーザレ・プランデッリ監督はシステムをバロテッリを1トップに据えた4−1−4−1から、前線にバロテッリとチーロ・インモービレを並べた3−5−2に切り替えて状況を打開しようと試みたが、この賭けも機能せず。そのインモービレも含めて、今回招集された5人のFWは、結果的にまったく違いを作り出すことができなかった。日本でよく使われる言い方をすれば、イタリアの攻撃陣は「世界に通用しなかった」ということになる。
イタリアが独力でチームを困難から救い出すことができるワールドクラスのアタッカー(ルイス・スアレス、リオネル・メッシ、アリエン・ロッベンのような)を擁していないことは当初から明らかだった。このW杯を通じて、バロテッリがそのレベルまで成長することに大きな期待がかけられていたわけだが、残念ながらその期待が満たされることなく終わった。
その観点から見れば、1月に負ったひざのじん帯損傷による長期離脱から直前に復帰したジュゼッペ・ロッシの招集を、心身のコンディションがまだ100パーセント回復したとはいえないとして見送った指揮官の判断が正しかったかどうか、これからの数日間議論の的になることは間違いない。
痛かったモントリーボの離脱
このあたりは、アンドレア・ピルロと並ぶ中盤のキープレーヤーだったリカルド・モントリーボの直前離脱が響いた。中盤やや高めの位置で最終ラインからの縦パスを引き出し、そこから長短のパスでダイナミックにボールを動かすモントリーボは、単につなぐだけのポゼッションで終わらせず、そこから局面を前に進めてフィニッシュへの道をつける上で、きわめて重要な役割を担う存在だった。
彼の離脱を受けたプランデッリは、基本構想としてきた4−3−1−2を諦め、ダニエレ・デ・ロッシをアンカーに据える一方で、ピルロを一列上げてそれまでモントリーボが担ってきた機能を委ね、中盤を再構築するという決断を下す。しかし、ブラジル入り後の練習試合で試した4−1−3−2で攻守のバランスが確保できなかったこともあり、イングランドとの初戦には、そこからFWを1人削って中盤に回した1トップの4−1−4−1で臨むことになった。
このイングランド戦では相手が引いてカウンターを狙ってきたこともあり、ポゼッションで中盤を支配できた。しかし相手のプレッシャーが高まってスペースと時間が削られたコスタリカ戦では、戦術的な基盤となるべき中盤の主導権を握ることができなかった。イングランド戦で機能していた(そしてウルグアイ戦でも最も説得力のあるプレーを見せることになる)マルコ・ベラッティをあえて外し、プレーのリズムが遅くプレッシャーに弱いティアゴ・モッタを起用した采配にも疑問符がつく。
そしてウルグアイ戦ではさらにシステムに手を入れて3−5−2。この布陣は少なくともスアレス、エディンソン・カバーニを抑え込むという意味ではそれなりに機能したが、攻撃の局面ではほとんどチャンスらしいチャンスを作り出せなかったことも事実だ。イタリアにとっては0−0でも十分であり、その意味ではクラウディオ・マルキージオにレッドカードが出されるまでは狙い通りに運んでいたとも言える。しかし、プランデッリがモントリーボの離脱後、チームとしての明確な戦術的アイデンティティーを確立できないまま、最後まで行き当たりばったりの対応に終始したことに変わりはない。