初優勝で5年シードを獲得した竹谷佳孝=下部ツアーから這い上がって大きなご褒美
グリーン脇で安堵の表情を輝かせた妻
プロ9年目でツアー初優勝を遂げた竹谷佳孝。賞金3000万円とともに、ツアーへの出場が保障される5年間のシードが何よりのご褒美となった 【写真は共同】
グリーン脇からは、妻の慶子さんと5歳の長女・祐泉ちゃんと1歳の長男・一優くんが見守っていた。ふだんは会社勤めの慶子さんは、親から言いつけられていたという「夫の職場に女が足を踏み入れるものじゃない」に背いて、この日初めて夫のプレーを観戦し、その晴れ姿を目に焼き付けた。
「優勝も大事だけれど、なによりも初めてシードが獲れたことがうれしい。毎年QTでドキドキするのは嫌だな、って思っていました」
安堵の表情を輝かせた。
下部ツアー賞金ランク2位からの挑戦
それだけに、この日の竹谷の栄冠は、どれだけのプロゴルファーを羨望させたことか。日本ゴルフツアー機構のまとめによると、日本で競技を仕事の場とするツアー選手は約1500人。ここでいう“ツアー選手”とは、QTで2次以上まで進んだ選手を指すという。数に含まれない1次QT敗退者なども含め、その舞台にすら上がれない選手の数を想像すれば、レギュラーツアーの試合に出ている選手たちが、まさに氷山の一角であることを理解できるだろう。
職業“ツアープロ”のお父さんはさらなる飛躍誓う
もちろん試合に出場しなければ何も始まらない。職場確保の保証として複数年シードは、誰よりも竹谷本人にとってうれしいご褒美となった。「好きなことをやらせてもらい、家族には迷惑ばかりかけている。自分で責任を取らないといけないと思っています」と、竹谷は優勝会見の席上で、さらなる飛躍への決意を語った。
「これまでの苦労が報われてうれしいけど、これからが大変ですね」
職業“ツアープロ”のお父さんは、これからが本当の戦いだ。
(塚田達也)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ