異なる母国を選んだボアテング兄弟の再戦 ともにピッチに立つことはできるのか?
兄弟をとりまくムードは別物
異なる代表を選んだボアテング兄弟。4年前に引き続き、W杯の舞台で対戦する 【Bongarts/Getty Images】
逆風の吹くガーナ代表の兄プリンス
ガーナ代表の兄、ケビン=プリンス・ボアテング。W杯初戦の米国戦では先発メンバーを外れたが、ドイツ戦は出場なるか 【写真:ロイター/アフロ】
ケビン=プリンスがブラックスターズの14年W杯のスタートを「オフサイド」の位置から見るというのは、南アフリカ大会への準備期間で目にしたのとまったく同じ光景だった。0−2で敗れたオランダとの親善試合に向かうバスの中、ガーナの選手たちは声をそろえて歌い、ダンスしていた。だが一人だけ、バスの後部座席で様子の違う男がいた。ヘッドフォンから流れるラップで自身を隔離した、ケビン=プリンス・ボアテングだった。
10年6月のデビュー以降、プリンスは12回しか代表のユニホームに袖を通していなかった。代表チームに合流するためのフライトをキャンセルすることもしばしばで、それは壊れやすい彼のヒザをプレッシャーから守ることも意味していた。プリンスには「いいとこ取り」のイメージがついており、彼を人気者の座から遠ざけていた。
プリンスがドイツ戦で先発メンバーに名を連ねるかは、まだ分からない。アッピアー監督は米国戦では4−4−2のフォーメーションを選択し、ボアテングのみならずマイケル・エッシェンというもう一人のスター選手も犠牲を強いられることとなった。「ケビンとマイケルは良い選手だ。だが、今日私が選んだのは4−4−2だ。ジョーダン・アイェウとアサモア・ジャンは、練習ではよく波長が合っていた」というのが、指揮官の見解だった。ただし、米国戦ではこの戦術は機能しなかった。
21日にフォルタレーザで行われるドイツ戦は、ガーナにとっては決勝のような意味合いを持つ。「決勝トーナメントに進むために、2勝が必要な状況になっている。厳しいね」。FIFA(国際サッカー連盟)ランク4位(14年6月5日発表)のポルトガル相手に4−0というドイツ代表の今大会のお披露目公演を、欠席することなく見守ったアッピアーは、タスクの重さを心得ている。