“勝負強い”南米の強豪コロンビア 日本に付け入る隙はあるのか?

川端暁彦

虎視眈々と「速攻」を狙う基本スタイル

コートジボワールに2−1で勝ちきった“グループC最強”のコロンビア。ロドリゲス(左)は先制点を挙げる活躍を見せた 【写真:ロイター/アフロ】

 共に初戦白星となったコロンビアとコートジボワールの一戦は、同グループの日本とギリシャの試合の6時間前、ブラジリアのエスタジオ・ナシオナル・デ・ブラジリアにて開催された。

 コートジボワールは日本戦の布陣を踏襲する形での編成。ヤヤ・トゥーレをトップ下に配置した4−2−3−1の並びは変わらない。対するコロンビアのフォーメーションも同じく4−2−3−1。4バックの中央に、代表100試合目となる38歳の重鎮マリオ・ジェペスを配し、その前にカルロス・サンチェスとアベル・アギラールのダブルボランチ。トップ下には多彩な技術を持つ天才肌の22歳ハメス・ロドリゲスを配し、1トップは負傷欠場となった“本来のエース”ラダメル・ファルカオの背番号9番を引き継いだテオフィロ・グティエレスが入った。

 序盤は双方ともに慎重な立ち上がり。白星スタートとなっているだけに、「引き分けでもいい」という思惑も見え隠れする。ボール支配率で上回ったのはコートジボワールで、日本戦でも見せたように、両サイドバック(SB)をウイングの位置まで押し上げることで相手を自陣に閉じ込めるようなポゼッションも見せた。ただ、コロンビアはこれに対して慌てず騒がず、老練とも言える対応を見せる。単に守るだけではなく、シンプルに、そして虎視眈々(たんたん)と「速攻」を狙い続けた。これが彼らのスタイルでもある。

“切り札”ドログバ投入直後に試合を動かす

 12分にはセットプレーをはね返す流れから速攻を仕掛けると、27分には同じく速攻から巧みな動き出しで左サイドに流れてフリーになったロドリゲスが絶妙なクロス。これにグティエレスが合わせて前半最大の決定機も作り出した。流れるようなトラップとクロスは、この22歳のレフティーが秘める無限の可能性を感じさせるもの。ギリシャ戦でも片鱗を見せた大器が、試合を作る予感を漂わせる。

 前半を終わっての印象は支配率で負けているコロンビアがむしろ優勢というもの。ただ、コートジボワールには「ディディエ・ドログバ」という“切り札”がある。これに彼らがどう対抗するのかは大いに興味をそそられるものだった。

 後半15分、満を持してドログバがピッチに送り出される。ここが勝負所だというのは誰もが感じたであろう展開の中で、先制点をあげたのはコロンビアだった。64分、CKの好機に飛び込んだのは、ロドリゲス。代わったばかりのドログバに頭で競り勝ってのゴールは、コートジボワールの勝利への確信を砕き、味方を鼓舞するには十分過ぎるもの。70分には相手のビルドアップのスキを突いてボールを奪ってのショートカウンター。最後は交代出場でトップ下に入っていた21歳の新鋭フアン・キンテーロが落ち着いて決めて、リードを2点に広げてみせた。コートジボワールも73分にFWジェルビーニョが素晴らしい3人抜きゴールをたたき込んでみせたが、所詮は単発。ジェペスが軸となるコロンビアの守備は揺るがず、2−1で勝ち切ってみせた。

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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