W杯ベスト4へ 自信みなぎるベルギー 育成強化で作り上げた「楽しい」サッカー
本番前の緊張感ある練習
W杯前の親善試合で先発出場した19歳のFWオリギ(右)。ベルギーは次世代選手も育っている 【写真:ロイター/アフロ】
FWディボック・オリギとMFケビン・デ・ブライネは足首を痛め、MFマルアン・フェライニは審判を務めたマルク・ビルモッツ監督の判定に怒りを露にし、ノーゴールに終わったFWロメル・ルカクはポストを蹴り上げ、MFスティーブン・デフールはコーチとの激しい議論を続けた。
大会が始まったことによる入れ込み、初陣前の緊張、健全なチーム内競争、長期合宿による苛立ち、そして何より、彼らのウイナーズメンタリティーが現れた14日の練習だった。
ヤヌザイ、オリギと次世代選手も育つ
ルカクのバックアップであるオリギは7日のチュニジア戦で初めて先発出場し、センターFWとして62分間プレー。自陣に引いて守るチュニジア相手に狭いスペースでの技術を発揮し、思いきりの良いシュートを放つなど、印象深いパフォーマンスを発揮した。
オリギのプレーについて、ビルモッツ監督は「誰もが彼のスピード、アクション、トラップ、テクニックを見たと思う。3、4回チャンスを作った。クオリティーの高さは明らか」と語った。
そして今季、マンチェスター・ユナイテッドで鮮烈デビューを飾ったヤヌザイ。今のベルギーサッカー界は代表チームでも欧州のトップシーンでも活躍するスターたちの、そのまた次の世代も育っているのである。
00年ユーロを契機に育成に力を入れる
「幸い、ユーロを開催したことによって、サッカー協会にはお金があった」と関係者。ベルギーサッカー界の将来に危機感を抱いた彼らは、「今こそ、ユース育成に力を注ぐべきだ」と決め、ベルギーの南北にあるユース育成大国、オランダとフランスのシステムを参考に、独自のユースポリシーを作った。
当時、プロサッカーから育成世代まで、勝つための守備的なサッカーやオーバーコーチングが蔓延(まんえん)していたベルギーサッカー界にとって、オランダの楽しさを追求する攻撃サッカーはカルチャーショックだった。この時、学んだ「サッカーは楽しい」というコンセプトは、今も一貫してベルギーサッカー協会の指針となっている。