3勝2KOで勝ち上がった一戸総太が優勝=シンハービール協賛1DAYトーナメント

長谷川亮

ムエタイルール−55kg国内最強決定戦

シンハービール協賛のムエタイ1DAYトーナメントを制し、賞金200万円を獲得した一戸 【長谷川亮】

 タイのシンハービールが全面協賛し、優勝者に賞金200万円が贈呈されるムエタイルールの1DAYトーナメント「WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA CUP」が15日、東京・ディファ有明で開催された。

 優勝者には賞金200万円のほかシンハービール365本、準優勝者は50万円とシンハービール182本、さらに準決勝進出の2選手にもそれぞれ15万円とシンハービール1ケースが贈られたこのトーナメントにはいずれも各団体のベルトを持つ王者8人が集結。「ムエタイルール−55kg級で国内最強は誰か?」という問いに一つの答えを出すべく、熱闘が繰り広げられた。

準決勝は右ハイキック、決勝はパンチでKO

一戸は1回戦は判定だったものの、準決勝は1RKO、決勝は3RTKOとルンピニー王座に挑戦した地力を見せつけた 【長谷川亮】

 1回戦と準決勝は延長ありの3R、決勝は5Rと、最長で13Rの戦いを強いられるトーナメントを制したのは優勝候補と目されていたWPMF世界スーパーバンタム級王者の一戸総太(WSRフェアテックス三ノ輪)。昨年、ムエタイの殿堂ルンピニースタジアムの王座にも挑戦した地力でダメージと消耗少なくトーナメントを勝ち上がり、優勝賞金と王者の称号、そしてシンハービールのロゴがかたどられた金色のベルトを手に入れた。

 一戸は初戦でタイを拠点に活躍する逆輸入ファイター、ユウ・ウォーワンチャイ(=大田原友亮/B−FAMILY NEO/UKFインターナショナルフライ級王者)と対戦。“驚異の18歳”ユウとの試合は事実上の決勝と見られていたが、一戸は3Rにユウの蹴りをかわしてミドルとローを当て、辛くも振り切り2−0の判定勝利。

 準決勝では初戦で2回倒されるも3度倒し返す大会ベストバウトの逆転劇を演じてきた邦博(真樹ジムオキナワ/RKAスーパーバンタム級王者)を右ハイキックで初回KOに降し、決勝へ駒を進める。

 決勝の相手は同じWSRフェアテックスジムで別支部所属となる鷹大(WSRフェアテックス蕨/WMC世界スーパーバンタム級王者)。序盤はムエタイらしくミドルを中心に探り合う静かな展開となったが、一戸は2Rから蹴り数を増やし、徐々にエンジンを掛けていく。

 3Rに入ると一戸はパンチをクリーンヒットさせ、これで失速した鷹大を首相撲で捕まえヒザ蹴りでラッシュ。異状の見られる鷹大にレフェリーはドクターチェックを要請し、パンチの被弾によるものか鷹大は視線が定まらず、眼窩底骨折の疑いもあることから試合はここでストップ。一戸の優勝が決まった。

一戸「最終目標はルンピニー」

ラウンドガールが持つボードもシンハービールをかたどったものだった 【長谷川亮】

 過酷な戦いを制した一戸は「できるだけダメージを少なくして、相手に強い攻撃を与える作戦で戦ったのがうまくいった」とトーナメントを振り返り、「最終目標はルンピニーです」と、昨年ならなかった殿堂の王座奪取に改めて闘志を高めていた。

 多くの団体と同じ数の王者が存在し、群雄割拠のキック界だが、王者が一堂に介し真の強者を決するこのような大会が、今回だけにとどまらず来年、あるいは階級を変えて開催されることが期待される。

大会結果

■M−FIGHT「SUK WEERASAKRECK VI」
6月15日(日)東京・ディファ有明

<メインイベント(第15試合)WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA CUP決勝戦 3分5R>
○一戸総太(WSRフェアテックス/WPMF世界スーパーバンタム級王者)
(3R0分56秒 TKO)
●鷹大(WSRフェアテックス/WMC世界スーパーバンタム級王者)

<セミファイナル(第14試合)WPMF日本フライ級タイトルマッチ 3分5R>
○伊藤勇真(キング・ムエ/WPMF日本フライ級8位/挑戦者)
(5R2分14秒 TKO)
●隼也ウィラサクレック(WSRフェアテックス/WPMF日本フライ級王者)

<第13試合 61kg契約 3分5R>
○シントンノーイ・ポー・テラクン(タイ/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級6位)
(2R2分27秒 TKO)
●前口太尊(PHOENIX/J−NETWORKライト級王者)

<第12試合 WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA BEER CUP準決勝>
○一戸総太(WSRフェアテックス/WPMF世界スーパーバンタム級王者)
(1R2分22秒 KO)
●邦博(真樹ジムオキナワ/RKAスーパーバンタム級王者)

<第11試合 WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA BEER CUP準決勝>
○鷹大(WSRフェアテックス/WMC世界スーパーバンタム級王者)
(判定3−0)
●大野聖(頂上会テアゲネス/ストライカーライト級王者)
※30−28、30−29、29−28

<第10試合 WPMF日本ルール ピン級 2分5R>
○Little Tiger(WSRフェアテックス三ノ輪・Team Tiger/WPMF&WMC世界ピン級王者)
(判定3−0)
●ホーンカオ・ソーサーヤーン(タイ)
※50−47、49−47、49−46

<第9試合 WPMF日本スーパーライト級ランキング戦 3分3R>
○加藤剛士(WSRフェアテックス/WPMF日本スーパーライト級5位)
(4R1分32秒 TKO)
●田中秀和(橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATIONスーパーライト級王者、WPMF日本スーパーライト級1位)

<第8試合 WPMF日本ライト級ランキング戦 3分3R>
○遠藤信玄(Team Tiger KGT/WPMF日本ライト級4位)
(2R2分03秒 KO)
●杉本卓也(WSRフェアテックス三ノ輪/WPMF日本ライト級5位)

<第7試合 WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA BEER CUP 1回戦
○一戸総太(WSRフェアテックス/WPMF世界スーパーバンタム級王者)
(判定2−0)
●ユウ・ウォーワンチャイ(大田原友亮/B−FAMILY NEO/UKFインターナショナルフライ級王者)
※29−28、30−29、29−29

<第6試合 WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA BEER CUP 1回戦>
○邦博(真樹ジムオキナワ/RKAスーパーバンタム級王者)
(3R1分38秒 TKO)
●竹内将生(エイワスポーツジム/WPMF日本バンタム級王者)

<第5試合 WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA BEER CUP 1回戦>
○大野聖(頂上会テアゲネス/ストライカーライト級王者)
(判定3−0)
●炎出丸(クロスポイント吉祥寺/J−NETWORKスーパーバンタム級王者)
※30−26、30−26、30−27

<第4試合 WPMF JAPAN SINGHA BEER Presents −55kg SINGHA BEER CUP 1回戦>
○鷹大(WSRフェアテックス蕨/WMC世界スーパーバンタム級王者)
(判定3−0)
●裕喜(KIX/DBSスーパーバンタム級王者)
※三者30−28

<第3試合 WPMF日本女子52kg契約 2分3R延長1R>
○マエリー・ウォーワンチャイ(タイ)
(判定3−0)
●トモコSP(WSRフェアテックス/前J−GIRLSフライ級王者)
※三者30−29

<第2試合 67kg契約 3分3R>
○重宗(TSKjapan)
(判定3−0)
●佐藤出雲(LAILAPS東京北星ジム)
※三者30−29

<第1試合 WPMF日本ライト級 3分3R>
○峯山竜哉(WSRフェアテックス蕨)
(3R2分47秒 KO)
●RYOTA∞(錬成塾)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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