日本代表を変える「新防御システム」 ジョーンズHCは進化に自信
予定通りの「このタイミングからの強化」
カナダ代表の突進を止める日本代表(紺色) 【斉藤健仁】
8大会連続8回目のW杯を決めた5月25日の香港代表戦後、ついにジョーンズHCが次の一手を打った。前日まで香港代表を率いていたリー・ジョーンズ氏をディフェンスとブレイクダウン専任コーチとして招聘。リーコーチは元ウェールズ代表のアシスタントコーチで、プロクラブの指導歴もある人物だ。
ジョーンズHCは、就任当初からアタックの戦術、それを下支えするセットプレーの強化を進めていた。そんな指揮官に「ディフェンスをこのタイミングから強化することを決めていたのか?」と聞くと、答えは「イエス」。昨年末の取材時の「ディフェンスは強化しなければならない分野」という発言とも一致していた。
攻撃力に優れるサモア、カナダに連勝
5月から日本代表に加わり、ディフェンスを指導しているリー・ジョーンズ氏 【斉藤健仁】
カナダ代表戦(34対25で勝利)は、欧州組6人が先発したほぼベストメンバーの相手に前半はリードを奪われた。相手のボールを広く動かす戦術「ポッド」に対応できず、さらに1対1で受け身となり「トイレに座るような姿勢」(ジョーンズHC)になってしまい、3トライを許す。だが、後半は一転、ディフェンスの2人目の寄りが早くなり零封、逆転勝利を呼び込んだ。
ジョーンズHCは自信に満ちた目で言った。「選手たちのディフェンスに関する理解度は高まっている。良いタックルをすれば、ディフェンスのラインスピードが上がる。一番重要なのは良いポジションにいること、そして良い判断から良いタックルをすることです」
基本動作を「身につくまでやる」
タックルの基本動作を繰り返す 【斉藤健仁】
ただ、前に上がっても、タックル前に足を小刻みに動かす「パドリング」(ダンスとも言う)ができないと、相手のステップなどについていくことができず、しっかりタックルできない。主にバックスの選手は、「自転車の運転と同じ。体に身につくまでやる」とリーコーチの下、タックルの基本動作を繰り返している。