ホスピタリティーを感じたW杯開幕の夜 旅人に優しいサルバドールの街から
端々に感じるブラジル人の日本愛
いよいよ開幕したW杯ブラジル大会。直前まで国内の事情もあり盛り上がりに欠けるといわれていたが、やはり始まるとサッカー王国らしい熱を感じられる 【Getty Images】
しかし、僕を担当した入国検査官は「あなたは日本人ですね。私は仲間由紀恵(女優)さんが大好きです。日本のドラマは最近、『ルーキーズ』を見ましたよ」と日本への愛を滔々(とうとう)と語り始めてしまった。
ブラジル人の日本びいきは、1年前にコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)を見に来た時にも感じた。日系ブランドのタイヤのテレビコマーシャルや新聞広告を見ても「このタイヤはメード・イン・ジャパン」と日本製であることを強調していた。日本語を勉強しているブラジル人とも数多く会い、彼らは口々に日本へのリスペクトを口にしたが、それは長年、日系人たちがブラジルで築いてきた信頼も背景にあるのだろう。
カナリア色のシャツの売れ行きは……
洋服街を歩いていると、カナリア色の豊富な種類のシャツ――例えばネイマールの顔がプリントされたもの、「Hexacampeao」(6回目の優勝の意味。今回のブラジルの目標である)と書かれたものなど――が、バーゲンで10レアル(約500円弱)から20レアル程度で投げ売りされていた。W杯開催に反対する国民が増えているせいか、開幕に向けてムードが盛り上がらず、シャツの売れ行きは悪そうだ。
サルバドールの地元紙『ア・タルジ』は「サルバドールの洋服売り屋の話によれば、ブラジルの応援シャツの売れ行きは、4年前のW杯と比べて半分程度に落ちている。『開幕戦でブラジルが勝ちさえすれば、突然シャツが飛ぶように売れ始めると思うけど』とその人は語った」と報じている。