ジャンルの壁飛び越えサッカーを楽しむ!=小宮山悟&蝶野正洋が語るW杯の見方

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海外武者修行も考えたサッカー小僧――蝶野正洋

小さな頃からサッカーをやっていて、「海外武者修行」までも考えていたと話す蝶野さん 【スポーツナビ】

――蝶野さんは小中高とサッカーをされていたと聞いていますが、初めてW杯に触れたのはいつですか?

 1974年の西ドイツ大会じゃないかな。決勝を深夜にテレビで見ました。その前の70年のメキシコ大会は、写真集を兄が見ていたのを見ましたね。

――写真と映像では、やはり印象は違いましたか?

 父親がサッカーをやっていて、明治神宮に初詣してから天皇杯を国立で見るということを幼稚園の時からしていました。それでサッカーはよく見ていたんですけど、ただ国際戦は日本が弱かったので、W杯なんて、日本がたどり着くことのない世界だろうと。

――やはりその世界に憧れて高校までずっとサッカーを続けられていたと。

 そうですね。小学校から中学校に上がるくらいの時が一番熱くて、カズ(三浦知良)じゃないけど船に乗ってブラジルまで行こうかなぐらいのことを考えたりしてましたよ(笑)。

ドイツのGKノイアーに注目!

蝶野さんが今大会で注目する選手の1人に挙げるのがドイツのGKノイアー 【Getty Images】

――さて、そんなW杯ですが印象に残る選手は誰ですか?

 やっぱり見始めの頃のベッケンバウアー、クライフらの印象が残っていますね。

――実際、海外の選手などで話をしたことがある選手はいますか?

 Jリーグに来ていた選手とは話したことがありますね。昔、名古屋駅でジュビロ磐田の選手たちに遭遇して、その時はちょうどドゥンガがいました。それが米国大会で優勝した翌年だったと思うのですが、Jリーグにいるとは知らず、「えっ、ドゥンガ!?」と(笑)。
 ちょうど天山(広吉/新日本プロレスのプロレスラー)と一緒だったので、「おい、ドゥンガがいるぞ」と言って興奮していたのですが、彼はまったく分かってなかった。そうしたら、ジュビロの選手たちのほうが「蝶野だ! 天山だ!」となって、最初は通りすぎようかと思ったんですが、向こうからゴン君(中山雅史)が走って来たんですよ。それでゴン君が「蝶野さん、ファンです。応援してます」と言ってくれて。そのおかげでこちらもドゥンガにあいさつすることができました。

 あとは鹿島のファンイベントに呼ばれた時も、ジョルジーニョがいて「あれっ? ジョルジーニョがここにいるんだ!?」と。新日本プロレスで戦っていた時代は、Jリーグにそんな大物がたくさん来ているなんて知らなくて、それにびっくりしたこともありますね。W杯で活躍した選手たちは、ある意味、憧れの的でした。

――今回のW杯で注目の海外選手はいますか?

 ドイツのGKマヌエル・ノイアーですかね。名キーパーだと聞いているので、じっくり見てみたいです。

――やはり海外チームですと、奥様のご出身でもあるドイツが中心ですか?

 そうですね、海外はやっぱりドイツ。でも今回はやっぱり日本でしょうね。

現場で戦っている選手たちがデータを持っているのは有利

――そうですね。今回の日本代表は海外で活躍する選手も多いです。

 日本代表は今回で5度目のW杯となりますが、今までの中で最強のメンバーだと思うんですよ。海外組が過半数を占め、それぞれ結果も出している。特に香川(真司)選手や本田(圭佑)選手らは、リーグ終盤はチームで上手く活用されていなかったじゃないですか? 彼らのレベルは完全にワールドクラス。トップクラブは政治的事情がいっぱいあると思うから、そういう駆け引きの中で、難しい状況だったと思います。
 ただ逆に彼らはあまり出場していないということで万全の体調でW杯に臨めるんじゃないかなと。ストレスも溜まっているはずだから、この2人には爆発が期待できますね。

 あと今回はブンデスリーグのチームからもたくさん選手が出るし、W杯といったら、ほぼ欧州と南米のトップ選手たちが集まる国別対抗戦。そういう意味では前の大会よりも現場の選手たちが、各海外の選手たちのデータを知っている。だからこそ、前回の大会よりもずっとデータ収集というところや戦略も立てられるだろうし、チームのレベルが高いですよね。

――やはり情報がある方が有利だと。では外国人と戦うときの心得は何かありますか?

 その辺りの心得は今のチームの選手には必要ないんじゃないかと思います。多分、海外の選手はどこか東洋人を舐めて見ていると思うんですよ。だからその辺りで、自然と闘争心がわきだして、舐めて掛かってくる相手を倒してやるというほうがいいですね。

――日本代表にはどんなサッカーを期待しますか?

 多分ベスト8くらいまでは行くんじゃないかな。今回のメンバーは次に繋がる世代もいるし、2大会続けて出ている選手もいるし、伸び伸びやってもらいたいですよね。

優勝候補はドイツ。人よりボールが動くサッカーを!

――もうすぐW杯が始まりますが、テレビで試合は見ますか?

 もちろん見ますよ。昔、深夜のW杯放送を見ていて、ドイツが勝った時は道場の部屋で1人で騒いでいて、翌朝怒られました(笑)。

――日本以外のチームでは、やはり贔屓のチームを中心に見る感じですか?

 基本は、日本、ドイツ、ブラジルの試合は見ています。ただ、あれもこれもと言っていると、全部見たくなっちゃいますよね。

――どんな風に試合を見ていますか?

 応援しているチーム以外の試合を見る時は、まずは応援するチームを決めます。自分が好きなサッカーをやっているチームを選んで、そっちを中心に。ただどこもやっているサッカーが違うから、それを見ているのが楽しい。個人の力がなくても、組織力で勝つ。そういうチームの中で、どこが勝っていくか、マークしていないチームなんかも見るのも楽しいです。
 昔見ていた頃は、オランダのトータルフットボールよりも、西ドイツのサッカーの方が好きだったね。人よりもボールが動くサッカーが面白い。試合を見ていても、人がどれだけボールをキープするかじゃなく、パスが回っている試合が、ゲームのスピード感があって面白い。やっぱり個人のドリブルよりも、チームによる効果的なロングパスが好きですね。

――さて最後に、優勝候補はどこだと思いますか?

 俺はやっぱりドイツだね。開催国のブラジルは、多分、コケるんじゃないかなって思ってます。

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