ジャンルの壁飛び越えサッカーを楽しむ!=小宮山悟&蝶野正洋が語るW杯の見方

スポーツナビ

W杯開幕を目前に控え、W杯に注目するプロレスラーの蝶野さん(左)と野球解説者の小宮山さんに大会の思い出や見どころを聞いた 【スポーツナビ】

 サッカーワールドカップ(W杯)ブラジル大会が目前に迫ってきた。日本代表も直前の親善試合をすべて終え、あとは本番となるグループリーグ初戦、15日(日本時間)のコートジボワール戦を待つばかりだ。

 他のスポーツで活躍する選手の中でも、全世界が熱狂するイベントを待ち望んでいる人も多い。有名なのは、NBAのスター、コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レーカーズ)や、“世界最速の男”ウサイン・ボルトらも熱狂的なサッカーファンとして知られている。

 今回スポーツナビでは、サッカー好きとしてW杯開幕を待っている野球解説者の小宮山悟さんとプロレスラーの蝶野正洋さんに、過去のW杯の思い出や、W杯ブラジル大会の見どころなどを聞いてみた。また、ブラジルで世界の強豪と戦う日本代表にエールを送ってもらった。

友人の涙の訴えに動かされW杯を視聴――小宮山悟

高校時代、サッカー部員の友人からサッカーのすごさを聞き、それ以来、W杯に注目していると話す小宮山さん 【スポーツナビ】

――W杯ブラジル大会が近づいてきました。小宮山さんはW杯をいつ頃からご覧になっていますか?

 高校生の頃からですね。82年大会(スペイン大会)の時、サッカー部の同級生に、「サッカーこそがワールドスポーツ。野球と違い、サッカーは世界中どこでもナショナルチームがあるんだ」と言われ、見始めたのが最初ですね。その時テレビ中継で試合を見たのですが、体が震える思いをしました。

――どの試合を見られたのですか?

 確か、西ドイツとフランスの試合(準決勝、3−3でPK戦に突入し、西ドイツが5−4で勝利)だったと思います。「西ドイツ、すごい」という印象がありました。その時、中継で実況が「ゲルマン魂、ゲルマン魂」と連呼していたのですが、それがなんともいえない感じでした。それに、時々スタジアムの観客の映像が映し出されるのですが、それが野球とは違う熱狂ぶりで、それを見てサッカーのすごさを理解できましたね。

――どんなところにサッカーのすごさを感じましたか?

 実は「サッカーこそがワールドスポーツ」と言った同級生は、涙の訴えだったんですよ。サッカーは当時、日本にプロリーグがあるわけでもなく、日本代表もW杯は夢のまた夢。野球をやっている僕らからしたら、負け惜しみにしか聞こえなかったんです。ただ、泣きながらサッカーのすごさを訴えている友人の言葉に動かされてW杯を見てみて、「なるほどな」と思いました。さらに、高校にブラジルからの帰国子女がいて、彼もサッカーの話をずっとしていたので、ブラジルがサッカー王国だということを理解できるようになりました。彼は当時、「世界で一番うまい選手はジーコだ」と言っていたので、その時からジーコのことは知っていましたよ(笑)。

――その後も継続してW杯は見られましたか?

 もちろんです。日本でプロサッカーリーグも誕生し、(02年の)W杯招致活動も含めて、『サッカーを日本の文化に』ということになってきていたので、プロ野球選手の頃から、サッカー界の動きは気にしていましたね。

印象に残っているのは、バッジョ、駒野、ゴン……

小宮山さんがW杯で印象に残っているシーンは94年米国大会でバッジョがPKを外したシーン 【写真:ロイター/アフロ】

――今まで見たW杯で一番印象に残っているのは?

 一番印象に残っているシーンでいえば、(94年米国大会決勝の)ロベルト・バッジョ(イタリア)のPKですね。国のすべてを背負って戦っている選手が、プレッシャーも含めて肉体のギリギリだったと思うのですが、普通に考えて、世界の指折りのプレーヤーがあんなミスキック(バッジョの蹴ったボールは大きくゴールの枠を外し、失敗となった)をするなんて誰も思っていなかったので、あの幕切れはなんともいえない感じでした。

――W杯で印象に残っている選手はいますか?

 W杯限定ですか? いつもW杯が始まる前から「こんな選手がいて、この選手がすごい」という評判を知っていますから、W杯を見てというのは思い出せません。
 ただW杯というのは、ほかの大会と違って、唯一そこにはナショナリズムがありますよね。ですので、日本人として日本代表の活躍を切に願って見ています。そうなると、それぞれの大会で日本人の「この選手は」というのはありました。
 前回大会で言うと、最後の駒野(友一)選手のPKが忘れられないシーン(決勝トーナメント1回戦でパラグアイと対戦。0−0のまま延長でも決着がつかずPK戦に。3人目のキッカーだった駒野がクロスバーに当ててしまい失敗。日本の敗戦となった)ですし、(98年の)フランス大会のゴン(中山雅史)が足を引きずって走っている姿も印象に残っています。

――それでは、今回の日本代表で注目している点はありますか?

 対戦相手が対戦相手なので、わりと似たような展開になると思うんですよね。勝ち上がるためには、どういう星勘定をするのか分かりませんが、『最初の試合が特に大事だ』と各選手が言っているので、コートジボワール戦でどんなサッカーをするかで、勝ち上がれるかどうか分かると思うので、最初の試合にすべてを懸けて見ます。

――柏ファンで有名な小宮山さんですので、元々レイソル出身の酒井宏樹選手には注目していますよね?

 それはもちろん。要は、「どこ出身、どこ所属?」と言ったら彼はもちろんブンデスリーガで頑張っていますけど、我々、レイソルサポーターの中では、彼の所属は柏ですから。そういう扱いで見ていますから楽しみです。

壁に跳ね返されても立ち向かう姿を!

――今大会で日本代表に期待されていることは何ですか?

 W杯は国の代表が世界一を目指して争うところです。その中で、もちろん優勝を期待しているとみんな口にしますが、それはまだ無理ですよね。世界の壁が厚いことは、彼らが十分知っていることだと思います。ただ、その壁にぶち当たって、跳ね返されて、それでよしとはしないメンバーなので、何とかその穴をこじ開けていこうという姿勢が伝わってくるので、壁に跳ね返されても立ち向かっていく姿を、小さい子供たちに見せてあげたいですね。
 ただ、試合の時間帯が朝早いから見られないんですよね。そこは学校側が配慮してくれないですかね? 国のことなのでそれくらいしてもいいんじゃないかと。冗談抜きで、僕が文部科学大臣だったら、そのくらいのことはしますよ(笑)。

――W杯は国の代表が集まって国の誇りをかけて戦うところですからね。

 野球で言うとWBCはありますけど、国の代表同士が真剣に勝負するW杯がある。そのことで、プロのサッカー選手を目指す。小さい子供に「将来の夢は何ですか?」と聞くと、野球なら、「メジャーリーグでプレーしたい」「ヤンキースでプレーしたい」と言うけど、サッカーをやっている子供たちは「マンチェスター・ユナイテッドでプレーしたい」ということよりも、「W杯に出たいです。W杯で優勝したいです」というコメントをすると思うんです。それくらい重たいものといえば、代表選手たちが子供たちに与える影響は相当大きいので、今回のブラジル大会がどういう結果になるのか分かりませんが、代表として子供たちに何かを示せる。そんな戦いをしてほしいです。

――最後に、日本の結果を予想するなら、どこまで勝ち進むと思いますか?

 まずはベスト16まではいってほしいですね。前回のベスト16がまぐれだったと言わせないように、なんとかベスト16。あわよくば、その1つ上までいってほしいです。

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