則本に続け!日本一を狙う地方の逸材たち、大学選手権出場の好投手を一挙紹介

高木遊

「先発完投」の信念を貫き母校を東都6連覇に導いた亜細亜大4年・山崎康晃 【撮影:高木遊】

 第63回全日本大学野球選手権(神宮球場、東京ドームで6日間)が6月10日に開幕する。文字通り、全国26連盟の代表校が日本一を懸けて戦う今大会には、多くの注目投手が出場を予定している。今回はその顔ぶれを紹介していきたい。

ドラフト1位候補筆頭の亜細亜大・山崎

 まず、現時点での評価として「今大会No.1」と言ってもよいのが、亜細亜大のエース右腕・山崎康晃(4年・帝京高)だ。
 層の厚い亜細亜大投手陣の中で、1年時から登板機会をつかみ、これまで実力伯仲の東都大学リーグで13勝を積み上げてきた。MAX151キロのストレートと多彩な変化球を操る総合力の高い投手だ。

「抑え」としての適性を見いだされた昨夏の日米大学野球では、メジャーリーグ予備軍の大学米国代表を相手に、4試合で6回を投げわずか被安打1、自責点0、という驚異の成績を残した。また「秋の大学日本一」を争う昨年の明治神宮大会では、3試合すべてにリリーフ登板し、ここでも8回1/3を投げ、被安打わずか3、自責点0の鬼気迫る投球を見せ、亜細亜大の日本一に貢献した。

 そんな飛躍となった昨年から、さらに進化を遂げた姿を見せたのが、今春のリーグ戦だ。九里亜蓮(現、広島)が抜けた今季は、シーズンオフからエースとして「先発完投」を強く意識した投げ込み、走り込みを敢行。今季は点差の開いた試合でも、自ら続投を志願するなど過去最高の5勝6完投を挙げた。中でも優勝決定戦となった国学院大との3回戦では、延長10回を投げ1失点完投。5月とは思えない暑さの中で、最後は熱中症手前の状態になりながらも投げ抜き、信念を貫いた。

 プロ球団の担当スカウトも「自信と自覚が見て取れるようになったし、打者を観察しての駆け引きや投球術が向上した」(パ・リーグ某スカウト)、「要所で投げきるのはさすが。インステップしてくるので打者は打ちづらい」(セ・リーグ某スカウト)と話し、ともに「ドラフト1位は間違いないでしょう」と声をそろえた。

「全国区」を狙う地方大学の左腕に注目!

 また、この全国大会での活躍を虎視眈々(たんたん)と狙うのが地方大学の好投手たち。一昨年の大会では三重中京大の則本昂大(現、東北楽天)が1試合20三振を奪い(延長10回で参考記録)、一気にその名を全国に轟かせた。近年のドラフト上位指名選手やプロ入り後で活躍している選手の出身大学を見れば、地方大学の逸材を見逃してはならないだろう。

 まず、則本と同じく「三振を奪える投手」として魅力的な存在は、佛教大の左腕・榎本亮(4年・京都学園高)だ。今春のリーグ戦で85回を投げ、奪った三振は81個。防御率も1.16と抜群の安定感も見せる。身長174センチと、投手としてさほど大きくはないが、常時140キロ前後の球速ながら伸びのあるストレートと、キレのあるスライダーも武器だ。
 榎本の成長を見守ってきた小嶋雅人監督は「今年になり安定感が出てきた。本人にプロ志望もあるし、その能力を存分に発揮してほしい」と期待を寄せる。

「プロでは、ワンポイント左腕としても面白そうだ」とスカウトが評価するのは、九州産業大の浜田智博(4年・宮崎工高)。出どころの見づらい、テークバックの小さなフォームで投げる変則左腕ながら、そのフォームには似つかない威力のある140キロ前後のストレートに、カーブ、スライダー、スプリットを織り交ぜるコンビネーションで打者を打ち取る。リーグ戦通算20勝を挙げており、今春は5戦5勝と波に乗っている。大学では初の全国舞台となるが、「練習に取り組む姿勢も素晴らしく、年々力を付けてきている。中学で全国優勝を経験し、高校でも甲子園で活躍しているので、今大会もゲームをつくってくれるはず」と指揮する大久保哲也監督も信頼を置く。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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