則本に続け!日本一を狙う地方の逸材たち、大学選手権出場の好投手を一挙紹介
「先発完投」の信念を貫き母校を東都6連覇に導いた亜細亜大4年・山崎康晃 【撮影:高木遊】
ドラフト1位候補筆頭の亜細亜大・山崎
層の厚い亜細亜大投手陣の中で、1年時から登板機会をつかみ、これまで実力伯仲の東都大学リーグで13勝を積み上げてきた。MAX151キロのストレートと多彩な変化球を操る総合力の高い投手だ。
「抑え」としての適性を見いだされた昨夏の日米大学野球では、メジャーリーグ予備軍の大学米国代表を相手に、4試合で6回を投げわずか被安打1、自責点0、という驚異の成績を残した。また「秋の大学日本一」を争う昨年の明治神宮大会では、3試合すべてにリリーフ登板し、ここでも8回1/3を投げ、被安打わずか3、自責点0の鬼気迫る投球を見せ、亜細亜大の日本一に貢献した。
そんな飛躍となった昨年から、さらに進化を遂げた姿を見せたのが、今春のリーグ戦だ。九里亜蓮(現、広島)が抜けた今季は、シーズンオフからエースとして「先発完投」を強く意識した投げ込み、走り込みを敢行。今季は点差の開いた試合でも、自ら続投を志願するなど過去最高の5勝6完投を挙げた。中でも優勝決定戦となった国学院大との3回戦では、延長10回を投げ1失点完投。5月とは思えない暑さの中で、最後は熱中症手前の状態になりながらも投げ抜き、信念を貫いた。
プロ球団の担当スカウトも「自信と自覚が見て取れるようになったし、打者を観察しての駆け引きや投球術が向上した」(パ・リーグ某スカウト)、「要所で投げきるのはさすが。インステップしてくるので打者は打ちづらい」(セ・リーグ某スカウト)と話し、ともに「ドラフト1位は間違いないでしょう」と声をそろえた。
「全国区」を狙う地方大学の左腕に注目!
まず、則本と同じく「三振を奪える投手」として魅力的な存在は、佛教大の左腕・榎本亮(4年・京都学園高)だ。今春のリーグ戦で85回を投げ、奪った三振は81個。防御率も1.16と抜群の安定感も見せる。身長174センチと、投手としてさほど大きくはないが、常時140キロ前後の球速ながら伸びのあるストレートと、キレのあるスライダーも武器だ。
榎本の成長を見守ってきた小嶋雅人監督は「今年になり安定感が出てきた。本人にプロ志望もあるし、その能力を存分に発揮してほしい」と期待を寄せる。
「プロでは、ワンポイント左腕としても面白そうだ」とスカウトが評価するのは、九州産業大の浜田智博(4年・宮崎工高)。出どころの見づらい、テークバックの小さなフォームで投げる変則左腕ながら、そのフォームには似つかない威力のある140キロ前後のストレートに、カーブ、スライダー、スプリットを織り交ぜるコンビネーションで打者を打ち取る。リーグ戦通算20勝を挙げており、今春は5戦5勝と波に乗っている。大学では初の全国舞台となるが、「練習に取り組む姿勢も素晴らしく、年々力を付けてきている。中学で全国優勝を経験し、高校でも甲子園で活躍しているので、今大会もゲームをつくってくれるはず」と指揮する大久保哲也監督も信頼を置く。