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日本の命運を握るボランチ4人の起用法
山口を軸に、3人をどう使い分けるか?

山口がボランチの軸に急浮上

キプロス戦から3試合連続フル出場の山口。ここへきてボランチの軸に急浮上した
キプロス戦から3試合連続フル出場の山口。ここへきてボランチの軸に急浮上した【Getty Images】

 3日(現地時間2日)のコスタリカ戦前日に全身の張りを訴えた長谷部誠が離脱。14日のブラジルワールドカップ(W杯)初戦・コートジボワール戦への影響が懸念される状況に陥ったことから、日本代表はボランチの選手層が不安視される事態に直面している。ザックジャパン4年間の集大成となる大一番に向け、遠藤保仁、青山敏弘、山口蛍の3人がどう使われるのかを見極める絶好のチャンスとなったのが、6日のザンビア戦だった。


 この試合に先発したのは、遠藤と山口。山口は5月27日のキプロス戦から3試合連続フル出場となった。長谷部が長年担ってきた役割を確実にこなせる若きダイナモが、ここへきて中盤の軸に急浮上したといっていい。


「自分が一番若いし、一番走れるから、より長く使われてるだけなのかなと。ハセさんはしっかり一戦目に合わせてくると思うし、僕はそこまで周りの期待を感じていない。いつでも出られる準備をするだけです」と本人は決してブレることなく、レイモンド・ジェームズ・スタジアムのピッチに立った。

後手を踏んだザンビア戦

 12年ロンドン五輪でモロッコやエジプトといった北アフリカ勢と対戦している山口は「海外の選手とやる方が得意。読みやすいし、すごく伸び伸びできる」と、このザンビア戦に向けて少なからず自信をのぞかせた。だが、2012年アフリカネーションズカップ王者は一味違う相手だった。立ち上がりから頭抜けたスピードと跳躍力、出足の鋭さを見せるザンビアに日本は翻弄されてしまう。本田圭佑も「何本かパスが通ったかなと思っても、最後のスライディングで足を伸ばしてきてミスパスにさせられる」と改めて身体能力の高さを痛感していたが、山口も普段はかかるはずのプレスがかからず、戸惑いを覚えた様子だった。


「いつもならはまっていたはずのところで、相手が身体能力で前に来て、『誰が行くの?』みたいな状況になっていた。最初にプレスに行く人がはっきりコースを限定するとかできればよかったんですけど……。後ろのボランチやセンターバックも遅れてプレスに行っていましたね。最初の失点の時間帯も僕らボランチが後ろに吸収されて、プレッシャーにいけない状態が続き、そこで放り込まれた。チームとして1つになれていなかったですね」と本人も振り返った通り、開始9分のクリストファー・カトンゴの先制点の場面で、日本は完全に後手を踏んでしまった。


 この11分後に岡崎慎司が相手GKと接触。試合が5分近く中断された。山口と遠藤、1列前の本田らがこの間に攻守の約束事を再確認したことで、試合は少し落ち着いたかに見えた。山口も内田篤人の対面に位置していたチサンバ・ルングやフェリックス・カトンゴがタテを突破してくるたびに、献身的にカバーリングに入る。彼の球際の激しさ、1対1の強さがピンチを何度か救った。


 それでも日本は前半29分、右CKから2点目を献上。一段と苦境に追い込まれる。こうなると、もはや反撃に出るしかない。左ボランチに陣取っていた遠藤もようやく高い位置を取り始める。「序盤はビルドアップが低かったと外から言われた。ゴールを奪うためにも、より高い位置でボール回しができるといい」と前へ出る意識をグッと強め、長友佑都が左をえぐって出したマイナスのクロスに反応してミドルを放つ。こうした攻撃姿勢が実を結び、前半40分にラッキーな形から得たPKを本田が決め、2−1に追い上げた。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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