ジョコビッチ、初Vへ試合巧者ぶりを発揮=全仏オープンテニス

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生涯グランドスラムを目指すジョコビッチが準決勝を突破。決勝でナダルと対戦する 【Getty Images】

 全仏オープンテニスは6日、男子シングルスの準決勝が行われた。雨、風、寒さ、厳しい2週間の戦いでふるいにかけられ、最後に残ったのはやはりこの2人だ。第2シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)が今年の「台風の目」エルネスツ・ガルビス(ラトビア)を倒し、第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)がアンディ・マレー(イギリス)を退けた。ジョコビッチは初優勝を目指し、ナダルは9度目の優勝を懸け、8日に激突する。この決勝には世界ランキング1位の座も懸かる。

経験豊富なジョコビッチが第1セット奪取

 第1試合、ジョコビッチは冷静に試合に入った。ガルビスとは少年時代に同じテニス・アカデミーに属していた旧知の仲。2人が初めてツアーで対戦したのが、19歳のガルビスがベスト8に駒を進めた2008年の全仏オープンの準々決勝だった。その時はジョコビッチが勝ったが、7−5、7−6(3)、7−5のスコアが物語るように、その後の低迷からは推し量れないガルビスの底力を示している。

 この日は久々に好天に恵まれ、気温は23度まで上昇。これまでとは違うボールの弾みも確認しながらの出だしだった。ジョコビッチは、生涯グランドスラムが懸かるだけに、全仏のタイトルは欲しい。

 ジョコビッチは、グランドスラムの準決勝がこれで22回目で、経験豊富だ。一方のガルビスはこれが初めて。また、5セットをフルで戦ったのはそれぞれ28回と9回で、約3倍もの差があるだけに、試合の入り方にも差が出た。第1セット、ガルビスが最初にチャンスをつかんだ。第4ゲームを15−40とし、2本のブレークチャンス。しかし、ジョコビッチは追い込まれてからが強かった。これを4ポイント連取でかわすと、続く第5ゲームで反撃に転じ、相手のファーストサーブが入らないところを突いた。ガルビスはブレークポイントを3本まで逃れたが、4本目に力尽きて先手を奪われた。

 こうなると、力の出し入れ自在なジョコビッチが試合巧者らしく、サービスキープに専念してチャンスを探る。ジョコビッチは第9ゲームにブレークチャンスを得ると、懸命に打ち守るガルビスと激しいバックハンドの応酬を展開。最後は鮮やかにダウンザラインに切り返して第1セットを奪った。

決勝はナダル戦 直近8試合は五分の戦い

 ジョコビッチの強さは平均値の高さだ。フォア、バックとも穴がなく、サーブ、レシーブとも同じように攻撃力を持つ。サーブ力にしても最高時速はガルビスの220キロに対しジョコビッチは200キロだったが、メリハリの効いた力の出し入れで着々とポイントを重ねた。第2セットは、ファーストサーブの確率は78%で、そこからのポイント獲得率が81%と好調。アンフォーストエラーも第1セットの8から4に半減した。この安定感が、対戦相手には徐々にプレッシャーになってくるのだ。4度のサービスゲームで相手に3ポイントしか与えずに進んだ第8ゲーム、ダブルフォールトでつかんだチャンスを生かして、2セット連取したのは大きかった。

 さすがのジョコビッチも大会6試合目となれば疲れはある。まして、ここまでマリン・チリッチ(クロアチア)、ジョー・ウィルフリード・ツォンガ(フランス)、マイロス・ラオニッチ(カナダ)と手ごわい対戦相手が続いた上に、気候の変化もあった。
 ジョコビッチに疲れが見えたところで、ガルビスはドロップショットを混ぜながら突破口を模索。第8ゲームでついにブレークして1セットを奪った。しかし、最後はグランドスラムにおける5セットマッチの経験の差、時間の使い方の差が物を言い、ジョコビッチが順当勝ちを収めた。

 続く第2試合は、全仏オープンで2度目のベスト4入りを目指したマレーに期待が懸かったが、ここまで5試合の試合時間でナダルよりも4時間半も長くプレーした疲れは隠せなかった。さらに、晴天で高く跳ねるボールはナダルに有利。6−3、6−2、6−1という一方的な試合でナダルが制した。

 決勝で対戦するナダルとジョコビッチの対戦成績は、ナダルの22勝19敗。クレーコートでも13勝4敗とナダルがリードしているが、最近8試合のクレーの対戦は4勝4敗の五分、直前のローマ大会ではジョコビッチがフルセットで勝っている。

(文:武田薫)
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