トゥーレ兄弟の野望、日本戦への自信 コートジボワールがW杯で目指すこと

コロ「過去の大会はずる賢さと経験が欠けていた」

ドログバ(前列右から3人目)、トゥーレ兄弟ら欧州で実績を持つ選手を擁しながら、過去2大会はグループリーグ敗退。しかし、今回は上位進出を射程圏内に捉えている 【Getty Images】

――コロの場合は弟、ヤヤの場合は兄の最大の能力は何だと思うか? 君たちがぜひ自分も借りたいと思うような能力は?

コロ「彼のテクニックだ。その大柄な体にも関わらず、弟は洗練された精巧な技術と、僕自身が持たない足でのボールコントロール能力を持っている」

ヤヤ「兄の落ち着きだ。僕はかなり衝動的なほうなんだ。彼の冷静さがあれば、僕はちょっとカッとなったときなどに、落ち着きを保つことができるだろうと思う。この部分で向上するのにちょっぴり苦労しているとはいえ、僕にはまだまだ上達の余地はあるんだよ」

――プレミアリーグのタイトルレースでリバプールはマンチェスター・シティに追い抜かれたから、今季は弟がついに兄を破ったわけだね。

コロ「リバプールが優勝していたならどんなに良かっただろうと思うよ。でも、僕の弟が優勝したわけだから、少なくともトロフィーは家族の中にとどまることになる。最も重要なのは、父がハッピーだということ、トゥーレ家の一員が勝つということだ」

――W杯の話に戻るが、過去に出場したW杯から何を学んだのか?

コロ「過去のW杯を考えれば考えるほど、僕はフラストレーションを感じる。我々はもっと良い成績を残す力を持っていたと、確信しているからだ(06年はアルゼンチン、オランダ、10年はブラジル、ポルトガルの後塵を拝し、グループリーグ敗退)。後になって振り返ってみると、我々には何よりずる賢さと経験が欠けていたのだと気づく。それでも、大会に圧倒されてはいけないと誓い合って臨んでいたんだけどね。W杯で必要不可欠なのは、試合後に高名な対戦相手とユニホームを交換することではなく、戦うすべての試合に勝つことなんだ」

ヤヤ「過去の大会では、何より僕らのプレーに成熟度が不足していたと思う。我々は決して自分たちのリズムで試合を進めることができなかったし、試合中に自らの手で山場を、つまり我々が攻めて波をつかむような熱い瞬間を生み出すことができなかった。僕らは相手に主導権を許しすぎ、圧倒されるままになりすぎていた。実際、我々はシニア大会でプレーする大人の選手を眺めている子供のように振る舞っていたんだ。観客気分でいることはやめなければならない。そしてコンプレックスを抱くのも、もうやめるべきだ。でも今や僕らは、これらの罠にひっかからないための経験を十分に積んでいる」

ヤヤ「日本には1−0で勝つ」

――日本を倒すために何をすべきだと考えているのか?

ヤヤ「2010年の親善試合を覚えている。我々は2−0で勝ったが、非常に競った試合になった。そしてそれ以降、日本代表は大きく実力を上げた。彼らは優れた組織力を誇るチームだ。サッカーの世界でチームワークという言葉はよく使われるが、あのチームの中では、チームワークは文字通りの意味を持っている。彼らのサッカーは真の整合性、まとりを持っているよ。日本との初戦は、間違いなく戦術的な戦いになるだろうと僕は読んでいるんだ。彼らのプレー中の移動のうまさは際立っており、オフ・ザ・ボールで動いている選手が、ボールを運んでいる選手に多くの選択肢を提供している。さかんに動きまわって、運動量という面でも努力を惜しまない。我々が彼らに勝つには、おそらく特にミッドフィールドにおけるフィジカル的インパクトをかなり駆使して戦う必要があるだろう。日本は体格差という面で少し苦労する傾向のあるチームだから、彼らを苦しめるため1対1などフィジカルな対決にできるだけ持ち込み、彼らの組織的プレーをうまく分断するというのが、意図するところだ。いずれにせよ、彼らは多くのボールを呼び込む動きに、シャドーの動き、おとりのプレーを織り交ぜながら、ボールをうまく操る素晴らしいサッカーマシンだ。彼らとの試合では、我々も大いに走ることになるだろうから、僕はただただ、大会前にしっかり体を休めて体調を整えられるよう願っているんだよ」

コロ「そう、その上、日本戦は我々にとって大会最初の試合だから、出だしから僕らの野心を示して見せ、観客気分でいるようなまねをしないよう、心してかからねばならない。日本のようなチーム相手にそんなことをするというのは、重大なミスだ。最初から全開で、彼らにフィジカル的な勝負を強いる必要があると思う」

ヤヤ「僕は、我々が1−0で勝つと予想しているんだ。そうなれば、僕らのW杯の進撃に弾みをつけ、そして決勝トーナメント進出のライバルを最初から引き離すための完璧なスタートとなるだろうね」

(翻訳:木村かや子)

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著者プロフィール

1968年3月3日生まれ。『レキップ』紙を経て、98年より『フランス・フットボール』誌の記者として活躍。フランスのほかアフリカサッカーを得意分野とし、かの地に広いネットワークを持つ。特にドログバと親交が深く、取材がなくても電話で近況を報告し合う仲。2007年には同誌上でチェルシー批判を含むドログバの激白インタビューを発表し、国内外でセンセーションを巻き起こした。趣味は自分の子供と遊ぶこと、テニス、文学

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