W杯を見据えたコスタリカ戦の位置付け 気になる大久保の起用法とシステムの併用
最大のテーマは「コンディショニング」
コンディショニングを最優先したコスタリカ戦。見どころは? 【Getty Images】
このコスタリカ戦、そして6日に行われるザンビア戦の最大のテーマは「コンディショニング」になる。この2試合は、ワールドクラスの強豪チームと強化試合を組むことも十分に可能だったが、ザックジャパンは自分たちが合宿を張るタンパで試合をしてくれるチームを最優先にマッチメークを行った。その結果が、コスタリカとザンビアである。
日本がW杯本大会を戦うレシフェやナタルと同じ、高温多湿のフロリダ州タンパで、気候に体をなじませつつ、できるだけ移動の負担を省いた中でコンディションを100%に仕上げていく。強豪チームとの対戦で得られる経験値よりも、充実したプレー環境を整えることを優先した格好だ。それはアルベルト・ザッケローニ監督のチームに対する自信の表れとも言えるし、海外でプレー経験を積んだ選手が増えたことで、そのような試合を無理に組む必要がなくなったとも言える。
コスタリカ戦は、初戦のコートジボワール戦の12日前に予定されたステップの一つ。それ以上でも、それ以下でもない。ザッケローニ監督は記者会見で、「フィジカルトレーニングが(日本での)以前の合宿よりは少なくなり、今は動きのあるところでの戦術トレーニングをバランスとして増やしている段階。現時点では、選手には過剰なほどに情報を詰め込んでいる。それも試合に近づくにつれて、減らしていく。現時点ではチームのコンセプトの浸透や、アイデアを出しているが、ゲームが近づくにつれて対戦相手の特徴を踏まえた情報をインプットしていく」と現在のチーム状況を説明した。
トレーニングマッチの勝敗に一喜一憂する者を振り返らず、コスタリカ戦を終えた後も、チームは粛々と前に進む。
「仮想コロンビア」とはならない堅守速攻型のチーム
5月27日に行われたキプロス戦を「仮想ギリシャ」と銘打ったのは、両者のプレーレベルに差があるとはいえ、受け入れやすい設定だった。なぜなら、キプロスにはギリシャ系の住民が多いという文化的、言語的な背景に加えて、サッカーの戦術自体にも共通点が多かったからだ。
今回のコスタリカ戦も、地域的な共通点から「仮想コロンビア」とすれば、分かりやすいのだが、ただ、この試合についてはそう言い切りづらいところもある。コスタリカはもともと、細かくパスをつないで中盤を組み立てる技術的なチームだったが、今回の北中米カリブ海予選では5バックを敷き、引いて守ってカウンターをねらう堅守速攻型の戦術にシフトした。日本が本番で対戦するコロンビアとは特徴が異なるチームだ。