フェデラー、痛恨ミスで10年連続8強逃す=全仏オープンテニス
序盤は素晴らしい動きを見せるも……
10年連続となるベスト8入りを逃したフェデラーが第2セットに犯した痛恨のミスとは!? 【Getty Images】
時代の流れを感じさせる試合だった。立ち上がりのフェデラーは素晴らしい動き。躍動感にあふれ、自信に満ちたショットでガルビスと打ち合った。第1セットの第6ゲームにサーブが乱れてブレークを許したものの、すぐに第7ゲームをブレークバック。時速200キロ台を織り交ぜた第1セットのファーストサーブのポイント獲得率は83%で、フォアハンドの自在さ、威力には少しの陰りもない。前後の揺さぶりに余裕をもって反応し、タイブレークでは3−4のミニブレークダウンから連続ポイントで一気に先手を奪った。
しかし、昨年からのガルビスは要注意人物だ。25歳になった昨年はツアー2勝、いずれもハードコートだったが、今季は前哨戦のクレーコートを含め既に2勝してランキングを自己最高の17位に上げてきた。この日のファーストサーブの平均時速は205キロ。ショットの威力もさることながら、ライン際によくコントロールされたショットが決まり、フェデラーと激しく打ち合った。
第2セット、ここでも先にブレークされたフェデラーが、すぐに第2ゲームでブレークバックすると、ポイントで優位を保ちつつ、第8ゲームをブレークして5−3とリード。続く第9ゲーム、フェデラーはあっさり40−15として2本のセットポイントをつかんで雄叫びを上げたが、問題はこの後だ。ラリー戦から捻り出したチャンスボール、勢い込んだスマッシュのコースが甘く、ガルビスに返され、そこから逆転のブレークを許してしまった。かつてのフェデラーでは考えられないミス。タイブレークでこのセットを落としてしまう。
数字をたどると、フェデラーのアンフォーストエラーの数は変わらず安定しているが、ウイナーが第3セットの10に対し、第4セットは5、第5セットは6と半減している。ガルビスからチャンスボールが出なくなった理由の一つは、バックハンドの差だろう。打倒フェデラーとしてバックハンドを攻めるのは、ナダルが取った戦術だが、そのエネルギーは、左利きのナダルの強烈なスピンだった。一方のガルビスは、こう話した。
「戦術としてはロジャーのバックを攻め、自分のバックハンドのダウンザラインを使うことがあった。前の対戦で、ロジャーのフォアの威力は知っていた。自分のバックハンドはツアー1、2と自負している。その最大の武器と、ロジャーの弱点が重なったのかも知れない」
「完璧」よりも「自由で楽しい」プレーを追求
「本当のことを言えば、もう気持ちは芝に切り替えている。クレーコートシーズンは楽しかった。さあ、次に行こうという気分だ」
男子はその他に、第2シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)、トマシュ・ベルディヒ(チェコ)、マイロス・ラオニッチ(カナダ)がベスト8入りを決めた。
波乱が続く女子は、第8シードのアンジェリーク・カーバー(ドイツ)を破った20歳のユージェニー・ブシャール(カナダ)を始め、マリア・シャラポワ(ロシア)、カルラ・スアレス・ナバロ(スペイン)、ノーシードのガルビネ・ムグルザ・ブランコ(スペイン)が勝ち進んだ。
(文:武田薫)
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