日本ラグビー界に輝いた2つの才能 世界ランク8位のサモアに快勝

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秩父宮を熱狂させた松島幸太朗のトライ

サモア代表から個人技でトライを奪う活躍を見せた松島 【築田純】

 秩父宮ラグビー場の興奮が頂点に達したのは、日本(世界ランク13位)vs.サモア(世界ランク8位)の後半30分だった。敵陣22m付近でこぼれ球を拾った松島幸太朗が正面を向くと、鋭いステップで屈強なサモア代表3人を置き去りにして、悠々とゴールラインに飛び込んだ。
 これまで、身体能力の差に泣いてきた日本ラグビー。しかし、松島は圧倒的な個の力でトライを奪ってみせた。周囲の熱狂に対して、照れたような笑顔を見せた21歳は「前を向いて、(スペースが)空いていたので抜いていきました。イメージ通りです」と冷静に振り返った。

 桐蔭学園高時代に東福岡高と決勝で引き分け、全国優勝を果たした松島は、国内の大学に進まず、南半球最高峰のスーパーラグビーに挑戦。南アフリカで20歳以下の代表候補に選ばれるなど、高い評価を得た。
 昨秋にサントリーに加入し、日本代表でもFB、WTBでプレーしていたが、30日のサモア戦では、レギュラーのマレ・サウがスーパーラグビー出場のため離脱した影響で、CTBの「13番」を背負うことになった。FBやWTBに比べて激しくぶつかり合うことが多いCTB。175センチ、88キロの体格は国際舞台では小柄だが、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は「直感」で松島を抜てきした。

慣れないポジションで活躍

慣れないCTBで活躍を見せた松島(中央) 【築田純】

 そして、この起用が大きな効果をもたらした。不安視されたディフェンスでは、「相手はフィジカルが強いので、低いタックルを意識していました」と振り返った通り、正確なタックルで相手にチャンスを与えず。アタックでは、ボールをもらう直前にコースを変えるなど、自在な動きでサモアをほんろうし、33対14の快勝に貢献した。

 慣れないポジションで結果を残した松島について、ジョーンズHCは「スタートから10m以内の加速が得意で、それは13番に欠かせないもの。ラインブレイクの能力があり、来週はマレ・サウがベンチになるかも(笑)」と語り、FB五郎丸歩は「トライを取り切る彼の長所が出ました。人を抜く力は高校時代から持っていて、動きを周りに理解してもらえば、もっと良くなると思います」と高く評価した。

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