世界8強へ!日本代表「次の一手」 ラグビーW杯に向けて課題解決を

斉藤健仁

「ターゲットはW杯で準々決勝進出」

香港に完勝し、W杯出場を決めた日本代表 【築田純】

 5月25日、現在の国立競技場におけるスポーツ最後の公式戦として聖火が灯る中、ラグビー日本代表が「アジア五カ国対抗(A5N)」第4戦で香港代表を49対8で下して7連覇を達成。同時に2015年にイングランドで開かれるラグビーワールドカップ(W杯)へ8大会連続8回目の出場を決めた。

 日本代表を率いるオーストラリア人のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は破顔することなく、「非常にタフなゲームでしたが、選手たちが我慢強く戦ってくれた。次のターゲットはW杯で準々決勝(ベスト8)に進出すること。今から、その目標に向けて準備していきたい」と来年9月に開幕する本番へと気持ちを切り替えた。

 日本代表にとってアジア予選は勝って当たり前だ。今春のターゲットは「W杯の出場権を得ること」と言いつつも、5月30日のサモア代表から始まる、カナダ代表、アメリカ代表、イタリア代表との4連戦を見据えていた。「A5N後は悪い試合が続く傾向がある。しっかりと勝ちにいきたい」と指揮官が言うように、4月から試合を重ねながらも、相変わらずの3部練習で強化を進めた。

厳しい環境でも大量得点を奪う

香港戦で3トライを奪った20歳の藤田 【築田純】

 今春、フィジカルトレーニングは継続しつつ、個々のランニングスピードとチーム全体の攻守の切り替えの強化に主眼が置かれた。菅平合宿から、ウェールズ代表で実績を上げているランニングの専門家フラン・ボッシュ氏を招聘し、さらに宮崎合宿からは週2回、40分ほどのアタック&ディフェンスを続けた。「1シーズン目はフィットネスを高めて、2年目はフィジカルを鍛えました。3年目はフィットネスをやりながらも、フィジカルもやって“よいとこ取り”といった感じ」(FB五郎丸歩副将)

 その成果は出ていたと言っていいだろう。アウェイで、しかも体感気温は40度を超える中で戦ったフィリピン代表には99得点、スリランカ代表には歴代3位の132得点を挙げ、続く韓国代表戦、香港代表戦でもフィジカル、フィットネス、セットプレーで圧倒し前半で勝負を決めた。

エディーHC「本当にスクラムは良くなっている」

81キャップで歴代最多タイとなった大野均(中央)。セットプレーの強化が進んでいる。 【築田純】

 ほかにも目に見えて強化が進んでいるのはスクラムだ。アジアでは相手ボールのスクラムでも圧倒していた。元フランス代表HOとして33キャップを誇るマルク・ダルマゾが正式にコーチに就いた成果もあり、FWは時間が許す限りスクラムを組んでいる。

「本当にスクラムは良くなっている。トップのチームと対戦していないのでどこまで強くなっているか分からないが、これからのテストマッチで試されることになるでしょう」とジョーンズHCはほおを緩めた。FW第一列では最多の50キャップ以上を重ねているPR畠山健介(サントリー)も「バック5(LO、FL、No.8の総称)の意識が高まってきた。今後は相手のレベルが上がるが良いスクラムを組みたい」と、より自信を深めていた。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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