全豪女王が初戦敗退、クルム伊達も=全仏オープンテニス
クルム伊達は春先の故障の影響でリズムに乗れず
4年連続の1回戦敗退となったクルム伊達公子 【写真:AP/アフロ】
もともとクレーコートを苦手としてきたクルム伊達だが、今季は特にふくらはぎの故障からようやく抜け出したところ。苦手のクレーでケガをしては元も子もないと、6月23日に開幕するウィンブルドンに備えて前哨戦もスキップ、これがクレーコートでの今季最初の試合だった。
対するアナスタシア・パブリチェンコワ(ロシア)は恵まれた体格からのパワフルなショットが武器。クルム伊達はリターンを警戒したのか、第1セットに5本のダブルフォールトでつまずいた。風も気にならない状況で、第3、第5ゲームをいずれもダブルフォールト絡みでサービスブレークを許し、得意のカウンター攻撃もリズムに乗れず散発的になった。
第2セット、今度はパブリチェンコワがつられるようにリズムを崩してダブルフォールトの山。女子テニスでは時おり見かける現象だが、このセットだけで8本のダブルフォールトで自滅し0−6で落とすという意外な展開になった。
クルム伊達は春先の故障で、4月から満足に試合ができたのは数えるほどだった。リズムに乗れなかったのはそのためだろう。得意の打ち合いに持ち込みながら、最後はパワーに屈する場面がたびたびあり、大事なポイントで何度か判断の迷いがあったのが気になった。ファイナルセットは一気に5−0まで持ち込まれ、それでも2ゲームを奪い返して見せ場を作ったのはさすがだったが、それが精いっぱい。苦手とは言え、1995年にはベスト4まで進んだこともある全仏で、4年連続の1回戦敗退だ。
番狂わせが相次いだ日
女子では今年の全豪オープンを制した第2シードのナ・リ(中国)が、世界ランク103位のクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)に不覚を取った。ムラデノビッチは昨年、世界36位まで上がっており、全仏オープン・ジュニアで優勝したこともある実績の持ち主。
油断ならない相手だったことに加え、ナ・リは2011年に優勝はしたものの、昨年は2回戦でベサニー・マテック=サンズ(米国)に、一昨年は4回戦で世界142位のヤロスラーワ・シュウェドワ(カザフスタン)に敗れるなど、全仏では取りこぼしが多い。この日も、丁寧につなぐムラデノビッチを力で抑えきろうと力む悪い癖が出て、墓穴を掘った。
前日のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)に次いで、全豪オープンの覇者が敗退。グランドスラムの前回大会の男女の優勝者が1回戦でそろって敗退するのは史上初めてのことだ。
男子の波乱としては、錦織圭(日清食品)とともに次代のホープとして注目されている第11シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)がいきなり敗退した。ベテランで長身のイボ・カルロビッチ(クロアチア)が尻上がりにサーブの威力を強め、“ベビー・フェデラー”の異名を持つディミトロフに1度しかブレークチャンスを与えないストレート勝負は意外だった。
そのほか、男子第5シードのダビド・フェレール(スペイン)、第7シードのアンディ・マレー(イギリス)、第12シードのリシャール・ガスケ(フランス)が順当勝ちし、第16シードのトミー・ハース(ドイツ)、第21シードのニコラス・アルマグロ(スペイン)が途中棄権。
女子では、成長著しい第4シードのシモーナ・ハレップ(ルーマニア)がアリサ・クレイバノワ(ロシア)を6−0、6−2で粉砕した。第6シードのエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)は勝ち上がり2回戦で奈良くるみ(安藤証券)と対戦することが決まった。イタリアの美人プレーヤー、カミラ・ジョルジも元気いっぱいに勝ち進んだ。
(文:武田薫)
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