イスラボニータ2冠へDNA解析が後押し!?=最先端の“お墨付き”その信頼性は?

橋本全弘

出血覚悟で信頼性を実証

イスラボニータが「エクイノム・スピード遺伝子検査」の信頼性をさらに高める結果を示してみせるか 【写真:中原義史】

 この「エクイノム・スピード遺伝子検査」が世界的に広まる契機となったのは、昨年の英国ダービーだった。というのも、デビュー7連勝で2000ギニー(1マイル=1600メートル)を制した大本命馬ドーンアプローチが、遺伝子検査で短距離向きの「C:C型」であることが公表されていたからだ。しかも同馬の生産者であるジム・ボルジャー氏は、他でもないエクイノム社の社長でもあった。つまり、遺伝子検査の精度を実証するために、自ら最高のサンプルを提供したのである。
 果たしてダービーにおけるドーンアプローチは、明らかなスタミナ切れを起こし、最下位の12着に大敗した。生産者としては残念な結果に終わったが、エクイノム社社長としてのジム・ボルジャー氏は、ある意味で出血覚悟の“賭け”に勝ったわけだ。

 学術的なことは門外漢の私だが、人間の場合も、瞬発力を生み出す速筋と持久力を生み出す遅筋の量の比率は、遺伝的に決まっているという話を聞いた事がある。恐らく同様のことが競走馬にも言えるのかもしれない。
 そこでふと、思い出したのは“暁のブルボン特急”の愛称で親しまれたミホノブルボンだ。筋骨隆々のスプリンター体型ながら、皐月賞とダービーを逃げ切り圧勝、菊花賞でもライスシャワーの執拗な追走にこそ屈したものの2着に踏みとどまった92年の準3冠馬。あの馬の遺伝子型は一体、どのタイプだったのだろうか……と興味は尽きない。

 ともあれ、今年のイスラボニータは「C:T型」。2冠を達成すれば、昨年の英国ダービーとは別の形で「エクイノム・スピード遺伝子検査」の実用性が証明されることになるが、果たして結果はどうなるのか……。注目の第81回日本ダービーは東京・府中の東京競馬場、6月1日、午後3時40分、全国注視のダービーゲートが切って落とされる。

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著者プロフィール

 1954年生まれ。愛知県出身。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社に入社。87年、中央競馬担当記者となり、武豊騎手やオグリキャップ、トウカイテイオー、ナリタブライアンなどの活躍で競馬ブーム真っ盛りの中、最前線記者として奔走した。2004年スポニチ退社後はケンタッキーダービー優勝フサイチペガサス等で知られる馬主・関口房朗氏の競馬顧問に就任、同オーナーとともに世界中のサラブレッドセールに帯同した。その他、共同通信社記者などを経て現在は競馬評論家。また、ジャーナリスト活動の傍ら立ち上げた全日本馬事株式会社では東京馬主協会公式HP(http://www.toa.or.jp/)を制作、管理。さらに競馬コンサルタントとして馬主サポート、香港、韓国の馬主へ日本競馬の紹介など幅広く活動している。著書に「名駿オグリキャップ」(毎日新聞社)「ナリタブライアンを忘れない」(KKベストセラーズ)などがある。

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