怪物ハープスターの敵は同厩舎の良血馬=オークス直前 松田博師インタビュー

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桜花賞を経てさらにパワーアップ、ハープスターは二冠へ一直線だ 【netkeiba.com】

 レースを重ねるごとに、“怪物”の異名がその濃さを増しているハープスター。桜花賞につづき他を圧倒する強さで、危なげなく二冠目を手にするのか。一方で、ブエナビスタの妹、良血サングレアルがトライアルのフローラSを勝利。同厩に手強いライバルが現れた。

 注目の2頭をオークス(5月25日、東京競馬場2400メートル芝)に送り込む松田博資調教師が、レース目前の胸中を語った。(取材・文・撮影:花岡貴子)

桜花賞より状態は上向き

 ハープスターがパワーアップしている。以前からどっしりと落ち着いた印象を与えていたが、ここにきてさらに動きに重厚感が増しているのだ。

「後肢をしっかりと踏み込んで歩いている。その動きも力強い。まるで、相撲取りのような歩き方だな」。そう愛馬を評価すると、松田博師の顔がほころんだ。

 ハープスターはここへきて充実一途。ケチのつけるところがない、というのは言い過ぎではない。

 5月21日の最終追い切りは古馬オープンのユニバーサルバンクとの併せ馬。前夜の雨の影響で馬場は重かったにもかかわらず、ハープスターはそれをまったく感じさせない力強い動き。道中はしっかり折り合ってラストは抜け出したあと引き離すという内容で、実にたくましい走りを見せていた。

「以前は抜け出すとフワッとするところがあった。でも、今日はそこから一杯にいったユニバーサルバンクを離した。こういう追い切りはしたことなかったよな」。そう言うと、松田博師は抜群の笑顔を見せた。桜花賞より状態は確実に上向いている。

数々の“怪物伝説”

もはや“伝説”となっている新潟2歳Sの最後方一気 【netkeiba.com】

 ハープスターというと新潟2歳Sでの逸話を思い出す。新潟へ輸送したあと、与えられたカイバだけでは足りずに寝ワラを食べてしまったという話だ。

「こんなによく食べる牝馬は珍しい」。2歳時、ハープスターといえばそんな話ばかりしていた。しかし、ここにきてあの“食い気”は潜め、落ち着いてきたという。「最近はガツガツは食べなくなってきた。それでも、しっかりと食べているから大丈夫さ」。

 そして、もうひとつのハープスターの逸話。

 松田博師は以前から「これまで一度として彼女が暴れたことを見たことがない」と話しているが、それは今もなお続いている。「普通なら時に暴れることがあるものだけど。ハープスターはそれがない」。しかも、時間が経つにつれて調教の内容も厳しくなっていく。成長の途中でイラつきを見せることがあって“普通”なのに、ハープスターにはそれない。「このまま、落ち着いて成長してくれればいいさ」。

 そういえば、この頃から松田博師は「これは大物になるかもしれん」と繰り返し言っていた。その言葉の裏づけは、あの新潟2歳Sでの末脚だ。

「あれは凄かったな。競馬前に寝ワラを食べた影響もあって腹まわりはボテっとしている。レースもハミがかからないまま行って直線向いたときは最後方。ペースは遅いし、もう無理かと思った。でも、スイッチが入ったら“あの脚”を使って勝ったからね。しかも、レースを終えたあとも涼しい顔をしていたし、レース前に心配した腹まわりは(走ったことで)スッキリとしていた(苦笑)。いや、ほんとにたいした馬だと思ったよ」

負ける可能性があるとすれば

注目の2頭をオークスに送り込む松田博調教師(前列中央)の周りには常に大勢の報道陣 【netkeiba.com】

 振り返れば、あの新潟2歳Sで長距離輸送、左回り、レース前日の競馬場での滞在も経験済みなのだ。不安をあげるなら1600m以上の競馬は未経験ということだ。

 そして、これに対して松田博師は「負けるなら距離だろう」と公言している。「それでも能力の高さで、大丈夫だと思っているけどね」。ここ2週、東京では前の止まらない競馬が続いている。しかし、それでもハープスターについては戦法を変えるつもりはない。

「自分の競馬ができないと悔いが残る。ゴチャゴチャする競馬をするのではなく、ゆったり構えて自分のペースで競馬してくれればいい」

 ハープスターにはそういう競馬をさせれば絶対に伸びる。松田博師はそう確信している。
「自分の競馬さえすればあの脚が使えるというのは新潟2歳Sの競馬でわかったんだから。小細工せず、じっと構えて終いにかければいい。無事にいつもどおりの競馬をしてくれればいいさ」

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