ブラジルW杯を目指した中村憲剛の4年間 落選の悔しさとサポーターの応援を胸に
落選後の素直な心境を吐露
W杯メンバーから落選した中村憲剛。発表翌日に自身のブログで心境を吐露した 【Getty Images】
ただ、どんなに最高な日でも、どんなに最悪な日でも、必ず次の朝は来るわけで。練習があったり、試合があったり、奥さんと話したり、子どもたちと話したりと日常に触れていきながら、少しずつこの事実を消化して行けるのかなと。
今まで辿ってきた道は間違っていなかったと思うし、やってきたことに悔いは一切ない
<一部略>」
12日の日本代表発表会見でブラジル行きのメンバーから漏れ、翌日のブログでその胸中をストレートに吐露した中村憲剛(川崎フロンターレ)。彼の心の叫びは人々の心を打った。本人も反響の大きさに驚くと同時に深く感謝し、次なる戦いへと向かった。だが、14日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)・FCソウルとの第2戦は2−1で勝利したものの、1点が足りずに8強進出を阻まれた。だからこそ、今季J1中断前のラストマッチとなった18日の横浜F・マリノス戦ではどうしても結果が欲しかった。
まぶしい太陽が照りつけた等々力陸上競技場での試合前、ホーム側のスタンドには「GO KENGO」という特製横断幕と、背番号14の巨大なユニフォームが掲げられた。
「(ブラジル行きが決まった大久保)嘉人が先のはずなんだけど、声をかけてもらってホントに感謝してるというか、震えるというか……。その思いに報いたかった」と中村憲剛は闘志をあらわにした。
高い意識で不測の事態に備える
「ここ数試合に比べたら、自分が持った時に顔を出す人間と動き出す人間が少なかった。いつもだと複数人が顔を出してくれるのに、みんな疲れていたり、マークされていたりで出しどころがないまま、俺もボールを触られたりつぶされたりしていた。今日は全体に運動量が足りなかった。これだけの人に応援してもらったのにショックというか情けない。ホント、自分の力不足を感じてます」
J2降格危機に瀕していた昨季に比べればまだいいものの、14節終了時点で暫定8位(川崎はACLのため消化が1試合少ない)という順位も中村憲剛にとっては納得できない位置だろう。ただ、今は何事も切り替えるしかない。W杯の予備登録メンバー入りしている彼はまず1週間の休養を取り、その後、自主的に調整して不測の事態に備えるようだ。
「考えられないくらいの連戦だったし、中途半端に休むよりは1回しっかり休む方がいいと思う。その後は麻生(川崎の練習場)も空いてるだろうし、ボール感覚はこれだけ試合をやってるから大丈夫だし、しっかり汗を出して、肺を動かせればと思います」
自分の複雑な立場というのをいったん封印し、彼は責任感を強く持って、自らのコンディションを維持していくという。現在の23人にアクシデントが起き、米国やブラジルへ赴くことになっても、高い意識を持つ中村憲剛なら問題ないはずだ。