苦難1年―ヴィルシーナの“心”は甦った 劇的復活、史上初ヴィクトリアマイル連覇

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ヴィルシーナが劇的復活を遂げヴィクトリアマイル史上初の連覇 【スポーツナビ】

 JRA春のマイル女王決定戦、第9回ヴィクトリアマイルが18日、東京競馬場1600メートル芝を舞台に争われ、内田博幸騎乗の11番人気ヴィルシーナ(牝5=栗東・友道厩舎、父ディープインパクト)が優勝。好スタートから果敢に逃げの一手を打つと、そのまま後続の追撃を振り切り、同レース史上初の連覇を達成した。良馬場の勝ちタイムは1分32秒3。
 
 ヴィルシーナは今回の勝利でJRA通算18戦5勝。重賞は2013年GIヴィクトリアマイル、12年GIIIクイーンカップに続き3勝目。騎乗した内田、同馬を管理する友道康夫調教師ともにヴィクトリアマイルは昨年に続く2勝目となった。なお、ヴィルシーナの馬主は米メジャーリーグのシアトル・マリナーズ、日本プロ野球の横浜ベイスターズ(現横浜DeNA)などでストッパーとして活躍した“大魔神”こと佐々木主浩氏である。

 半馬身差の2着には武幸四郎騎乗の3番人気メイショウマンボ(牝4=栗東・飯田祐厩舎)、さらにアタマ差の3着には岩田康誠騎乗の6番人気ストレイトガール(牝5=栗東・藤原英厩舎)が入った。なお、1番人気に支持されていた武豊騎乗のスマートレイアー(牝4=栗東・大久保龍厩舎)は、末脚不発に終わり8着に敗れた。

走る闘争心を戻すにはどうすれば

ヴィルシーナの闘争心を取り戻すには……試行錯誤の1年だった 【スポーツナビ】

 昨年のヴィクトリアマイル女王に対して単勝11番人気というのは、あまりに不当な低評価だったか。しかし、それも無理はない。ヴィルシーナは昨年の同レースから1年間、6戦で勝ち星なし。それどころか、馬券に絡む3着以内はおろか、掲示板に載る5着以内すら確保できずにいた。特に今年の2走は見せ場なく2ケタ着順続き。かつては日本最強牝馬ジェンティルドンナのライバルとしてしのぎを削った馬も、この1年ですっかり“過去の馬”という扱いになり果てていた。

 しかし、ヴィルシーナはまだ終わっていない――陣営は懸命に復活への道を模索し、きっかけ1つで劇的に甦ると信じていた。
「結局、きょうまでの丸1年勝てませんでしたが、体調面ではずっと具合は良かった。ただ、この馬の持ち味である気持ちの面、勝負根性が影をひそめていたんです。闘争心を引き出すにはどうすればいいか、というのを考えながら調整していました」
 友道調教師が苦難の1年を振り返った。競走馬としての経験を積むごとに体質面も強くなったことで、ソフトな仕上げに終始されていた3歳時から、この1年はハードに調教。「馬体に関しては去年よりひと回り大きくなって、本当にすごく良くなっているんです」。ただ、走る闘争心が一向に戻ってこない。
「それこそ、ブリンカーやチークピーシズといった馬装具の面から工夫しましたね」

 レースに関しても、試せること、できることなら何でも手を打ってきた。その1つが、ヴィルシーナにとって初の1400メートル戦となった前走のGII阪神牝馬Sだ。
「1400メートルはヴィルシーナにとってこれまで経験がない激しい展開になりますし、また馬込みの中に控えて気持ちを呼び覚ますことができればと思いました。あえて厳しい条件となる1400メートルのレースに使ったんです。このヴィクトリアマイルを勝つために、着順を度外視して“次”につながるレースをと、オーナーにも了承していただきました」

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