記録狙える今季 日本人選手も出場を 朝原宣治氏がダイヤモンドリーグを解説

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北京五輪銅の朝原氏が、今季のダイヤモンドリーグの見どころを語った 【画像提供:WOWOW】

 5月から9月にかけて世界各地で14大会が開催される陸上のダイヤモンドリーグ。種目別年間王者には賞金とダイヤモンド入りトロフィーが贈呈されるこの大会は、五輪や世界選手権と並び、陸上界の最高峰と呼ばれている。

 今季のダイヤモンドリーグの見どころと、6年後の東京五輪を目指す日本陸上界の展望について、日本短距離のパイオニアで、2008年北京五輪の4×100メートルリレー銅メダリストの朝原宣治さんに解説していただいた。

さまざまなスタートが見られた初戦

――いよいよダイヤモンドリーグの新シーズンが開幕しました。開幕戦(9日、カタール・ドーハ)の感想をお願いいたします。

 シーズンに入ったばかりで感覚がつかめていない選手がいた一方、男子走高跳のように、ハイレベルな戦いが繰り広げられた種目もありました。そういった意味で、さまざまなスタートが見られて面白かったですね。

――どういったところに注目していましたか?

 走高跳も面白かったですが、私自身の専門でもあった100メートルの、女子が気になりました。シェリーアン・フレーザープライス選手(ジャマイカ)が、期待通りの良いレースをして1位に入りましたね。今後もアリソン・フェリックス選手(米国)らライバルと競争をしながら、シーズン中盤にはそろっていい記録を出せるのではないかと期待できるレースでした。

――今年のダイヤモンドリーグは、選手にとってどういった位置付けでしょうか?

 今年は世界選手権や五輪といった大きな大会がありません。そのため、ピークをそこに合わせる必要がないので、記録を狙ったり自分のペースで戦うことができるシーズンだと思います。

――海外のレースで戦う面白さとはどのようなものですか?

 ダイヤモンドリーグを転戦できるような選手は一握りです。僕の時代は「ゴールデンリーグ」と呼ばれていました。僕はたまに出られるくらいの選手だったので、世界を転戦する選手たちと一緒に移動して、試合に出ることに興奮していましたね。
 ヨーロッパで自分の才能が開花する瞬間を感じた経験もあります。選手にとっては非常に刺激的だと思いますが、当然キツい部分もあります。試合がたてこんでくると移動の疲れも出ますし、慣れていないと、転戦しながら自分の実力を出すのは難しいですね。

ボルトは「僕らの想像を超えた選手」

――人類史上最速の男、男子100メートルのウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)の印象を聞かせてください。

 僕からすると、異次元の世界で走っている選手です。正直「どうなっているんだ」という感じです。27歳を迎え、肉体的にはギリギリですが、メンタルと技術はどんどん成熟してきているので、一番いい時期だと思います。もちろん本人でないと、どれくらいキレのある動きができるのか、これまでのタイムを破れるのか、身体的なポテンシャルが残っているのかどうかは分かりません。最近は、自己ベストを更新するような走りができていないことも事実ですが、僕らの想像を超えた選手なので、何かやってくれそうな期待はあります。

――その他にはどういった選手が注目ですか?

 男子100メートルではヨハン・ブレーク選手(ジャマイカ)ですね。ケガ明けでどれくらいのタイムが出せるのかに注目しています。後は世界新記録が出そうな男子の走高跳、(18日に行われる)第2戦の上海大会では、男子棒高跳のルノー・ラビレニ選手(フランス)が楽しみです。女子では、フレイザー選手と長距離のエジェガエフ、ティルネシュ、ゲンゼベのディババ姉妹(いずれもエチオピア)、砲丸投のバレリー・アダムス選手(ニュージーランド)あたりが鉄壁ですよね。
 日本人男子選手も(100メートルを)10秒ゼロ台で走ったり、9秒台を期待する声が聞こえたりしています。全部を回ることは難しいとしても、どこかの試合には出てきてほしいですね。

――桐生祥秀選手(東洋大)について聞かせてください。大きな期待が集まっていますが、周囲にはどう見守ってほしいと思われますか?

 常に記録を期待されると、選手にとってはプレッシャーになります。タイムもそうですが、さまざまな条件も含めて、彼の頑張りを見てほしいですね。「なんだ、9秒台じゃないんだ」ではなくて、「このコンディションでこれならすごいな」とか、「スタートがうまくいったな」といった見方をしてもらえればうれしいです。

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