スムーズな回旋運動でテニス肘を防ぐ ケガをしにくいトレーニング(1)

高樹ミナ

【Getty Images】

【スポーツナビDo】

 テニスをしている人によく起こるのが、テニス肘。初心者や女性に多いといわれるが、実はテニス歴の長いベテランや男性も意外と悩んでいる痛みのひとつだ。

 肘に痛みが出ないようにするにはどうすればいいのか。プロテニスプレーヤーのクルム伊達公子選手の専属トレーナーとしても知られるアスレティックトレーナーの鈴木岳.さんに、テニスをする際の身体の動かし方とファンクショナルトレーニング理論に基づいたトレーニング法を教えてもらった。

テニスは身体をひねる回旋運動

「股関節をひねる+腰椎は固定+胸椎をひねる」ことで身体を回転させる 【スポーツナビDo】

 トレーニングをするときには、なぜそのトレーニングが必要なのかを認識することが大切です。それにはまず、テニスの身体の動かし方を知りましょう。

 テニスは身体をひねる回旋運動です。よく「腰をひねって」とアドバイスされることがあると思いますが、身体の構造からいうと腰椎(腰の後ろの背骨)は骨と骨の継ぎ目がロックされた状態で、左右に回転させることはほとんどできません。それを無理にひねろうとするのはケガのもとです。

 正しい意識は腰ではなく、股関節をひねる。股関節は動きに適した関節で、その周りには関節を動かすための筋肉がたくさんついているので、正しく機能させれば大きなパワーを生み出します。さらにテニスでは胸椎(胸の後ろの背骨)をひねる動作が加わり、「股関節をひねる+腰椎は固定+胸椎をひねる」ことで身体を回転させています。

テニス肘はなぜ起こる?

 テニス肘はバックハンド、フォアハンドの両方で起きます。インパクトの時に前腕の筋肉を過剰に使ってしまい、筋肉の先端部である肘に負担がかかって炎症が起きてしまいます。これがテニス肘です。

 よく「手打ち」と言いますが、手の力だけで打とうとすると肘に負担がかかるので、「股関節をひねる+腰椎は固定+胸椎をひねる」という意識でテイクバックしましょう。

 また、両手を合わせるようにグリップを握る両手バックハンドの場合、胸を閉じた姿勢で身体をひねるため胸椎の動きが制限され、フォアハンドのように腕を大きくスイングさせることができません。そこでポイントとなるのが股関節。フォアハンド以上に股関節のひねりを意識し身体を回転させましょう。

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著者プロフィール

1970年5月14日生まれ、千葉県出身。杏林大学外国語学部英米語学科卒業後、フリーアナウンサーからスポーツライターに。トライアスロンの取材を機に、2000年のシドニー大会で五輪を初経験。以降、04年アテネ大会、08年北京大会、10年バンクーバー冬季大会を現地取材する。16年オリンピック・パラリンピック招致委員会のメンバーとして招致活動に携わった経験をもとに競技はもちろん、それ以外の側面からも五輪の意義と魅力を伝える

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